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クシム(暗号資産交換所Zaif)への株主提案でウルフパック戦略や経済安全保障の議論が再燃
*17:47JST クシム(暗号資産交換所Zaif)への株主提案でウルフパック戦略や経済安全保障の議論が再燃
クシム<2345>が11月25日に発表した取締役1名に対する辞任勧告の決議および社内調査委員会設置に関するお知らせを受けて、ウルフパック戦略の議論が再燃している。
ウルフパック戦略とは、裏で連携している個々の株主が対象企業の株式保有割合を5%未満にとどめることで、大量保有報告制度の適用を回避する手法である。大量保有報告書を提出してしまうと、株価が上昇してしまう可能性があるため、提出を遅らせて安値で株式を買い進めることを目的としている。金融商品取引法では、共同して株式を取得・譲渡・議決権行使をする場合は共同保有者とみなされるため、意図して大量保有報告を出さないことは非合法であるといえる。
クシムのプレスリリースによれば、クシムの重要事実の情報受領者であるA氏から、クシム取締役の田原弘貴氏(以下「田原氏」)からクシムの重要事実が情報共有されていると確定できる発言があったこと、直接・間接的にクシム株式を保有していること、クシム連結子会社である株式会社Zaifに、中国本土からビットコインを持ち込むことが可能である旨の提案があったとされている。それが事実であれば、インサイダー取引の疑義が発生するとともに、直接・間接のクシム株式保有が5%を上回っているのであれば、ウルフパック戦略が採られている可能性があるということで、議論が再燃している訳だ。
非合法なウルフパック戦略は、中国資本グループによく使用される手段であり、過去にも複数の事例が報告されている。日本の金融商品取引法における量刑が軽いことを利用し、意図的に違法行為を行っているとの指摘もある。
また、別の論点となるが、中国本土からビットコインを持ち込むという提案は、マネーロンダリングの懸念が伴うとともに、国内の暗号資産交換業者が遵守すべきFATF(金融活動作業部会)の基準を無視した内容が含まれており、クシムの経済的基盤に重大な影響を及ぼす恐れがあるだけでなく、国家の経済安全保障上のリスクにもつながり得るものであったとクシムは指摘している。クシムは子会社に暗号資産取引所であるZaifを擁しており、マネーロンダリングの懸念とともに、交換所の買収ということになれば、日本の経済安全保障の問題にも発展するということを訴えているのであろう。
外国からの投資に対する審査・規制を行う仕組みは、米国においてCFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States : 米国外国投資委員会)が有名である。地経学的なリスクが高まる中で、日本版CFIUSの確立が求められている状況にもあり、今回のクシムの問題は様々な問題をクローズアップさせた事案であるといえる。《NH》
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