関連記事
「介護から湯灌まで」を謳うケアサービス、湯灌の歴史を調べてみた
湯灌という言葉を初めて耳にしたのは、何年か前にケアサービス(2425、東証スタンダード)の決算説明会に参加した際だった。従い「湯灌」の意味するところは知っていた。が以降、湯灌の現場に立ちあったことはなかった。
【こちらも】基盤の医療業務に磨きをかけながら、介護・保育園事業も拡大するソラストのいま
今年、実弟を失い(親族として)父を(喪主として)見送り、初めて湯灌の現場に立ちあった。湯灌(ゆかん)とは基本的に葬儀に際し身体を清め、男性なら髭などを整え/女性なら死に化粧をして焼き場に送り出すことを指す。
二人を2カ月間に失い、猛暑の中で事後処理に追われ心身ともに疲弊しきっていたが、ようやく秋の気配を感じられるようになったいま「湯灌という儀式は何時頃からあったのか」と、「調べてみよう」という気持ちになった。
ものの本で、こんな記述に出会った。
『日本には昔から知らず知らずのうちに犯してしまったであろう、罪や心身の穢れ(けがれ)を海や川の水ですすぎ清めるという風習がある。日本書紀に、天皇が沐浴によって身を清めたという表記がある。当時は「ゆかはあみ」と呼ばれていた。これが湯灌の語源になったのではないか』
『古代インドで国王が即位する際に頭頂に濯(そそ)いだという「灌頂(かんじょう)の儀式」や、中国では遺体を洗い清めた儀礼などが仏教とともに日本に伝来したとされる。』
『日本では天台宗の開祖の最澄が空海の弟子となる際に初めて灌頂を行い、空海が本格化させたと伝えられている』
『平安時代には納棺前の遺体に水をかける湯灌の形式が形作られ、江戸時代には全国で行われていた』
弟は72歳で逝った。父は104歳で旅立った。重ねてきた年月を考えると、罪や心身の穢れと無縁などではあるまい。湯灌で身を清めることで、天国とやらに旅立つことが出来たにに違いないと捉えることにした。
介護から湯灌まで、を標榜するケアサービスは1970年に現会長の福原敏雄氏により「寝たきり老人の寝具の消毒・乾燥業」で始まっている。在宅入浴サービスで在宅介護に歩みを進めたのは1983年。エンゼルケアサービス(湯灌)まで手掛けるようになったのは1990年。
一部に「介護業界の減速・淘汰」を問う指摘がある。がケアサービスの収益状況は堅調。今3月期も「5.3%の増収(101億4900万円)、23.5%の営業増益(6億4000万円)、2円増配18円配」計画。
株価もそれを映し出している。本稿作成中の時価は800円台前半。予想税引き後配当利回り1.7%強。2015年の初値で買い保有し続けていると、修正済み株価パフォーマンスは2.2倍弱。湯灌まで踏み込んでいる、徹した介護業者である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード