エアトリの営業益予想が四季報独自予想と大格差 どっちが本当か!?

2024年6月29日 09:02

印刷

 新しい四季報(夏号)が届いた。前号をしまいこむに当たり「貴重な情報を読み忘れてはいないか」と、冒頭からのパラパラめくりをした。

【こちらも】超合金摩耗工具シェアトップ:冨士ダイス、今期配当性向予想は95.7%

 今回は早々に「へえ~」という情報に出会った。12頁目の『今期営業利益乖離率ランキング』。四季報の売り「独自予想」と「会社計画」の乖離率ランキングである。トップのエアトリ(東証プライム)の乖離率は、なんと250%。2位のくら寿司が87.5%だから、文字通り頭抜けている。

 今2024年9月期の四季報の営業利益予想は35億円、対して会社側の計画は10億円。驚きを通り越して「どっちが勝つか」という不謹慎な?興味を覚えた。

 エアトリの主業務は、割安航空券の予約サイト「エアトリ」の運営。コロナ感染症の影響を受けてきたことは容易に想像がつく。2020年9月期の「12.6%減収、89億9400万円営業損失」以降、「16.8%減収、31億5800万円の営業利益」「22.9%減収、30.2%営業減益」。

 前9月期は「70.4%増収、6.9%営業増益」。そして今期に関しては前期末段階で売上高こそ「11.1%増収(260億円)」としたが、営業損益以降は未発表。第1四半期開示と同じ2月14日になり「50.5%営業減益(10億円)、80.4%最終減益(2億5000万円)」とした。

 「既存事業領域では順調な推移が見込めるが・・・」として暗に、新規事業の立ち上がり不振・コスト増をにおわせた。例えば「ITオフショア開発事業」を指していると読み取れる。エンジニア人材不足のソリューション事業だ。

 ベトナム(ホーチミン・ハノイ・ダナン)に拠点を設立し約700人のエンジニアを擁している。東南アジアにおける日系海外企業で最大規模のラボ型開発事業を展開している。前期でも8400万円の営業損失を計上している。

 前号の四季報では、この新規事業に関する言及はない。「海外航空券の下半期以降の需要増」「ホテル・レンタカー好調」と記している。また四季報が指摘するように「宿泊施設に特化した予約会社の買収」など好材料があることも事実。

 で、既に開示済みの第2四半期はどんな具合だったのか。「売上高は通期計画に対する進捗率48%」だが「営業利益は倍強」「最終利益4倍強」。

 株価動向は・・・本稿作成時点で1300円台終盤。1月の年初来高値1966円から5月末の安値1222円まで利食われ、若干の戻り基調ではあるが読み込みづらいのが実態。

 エアトリ/企業側の言い分を信じるか、四季報の独自予想につくか。「勝負」は、いかんとも興味深い。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事