収益源は不動産業とされる:バナーズの波乱万丈の歴史

2024年6月2日 16:32

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 バナーズ(東証スタンダード)。埼玉県熊谷市に本社を構えるバナーズの祖業は、埼玉県北部の地場産業だった生糸業。メリヤス製品(ニット製品)などに手を拡げ1963年に旧東証2部に上場している。

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 現在展開している事業は「ホンダの新車販売」「楽器販売」、そして「収益源は不動産賃貸業」とされる。自動車販売は、埼玉県下に3店を構えている。楽器販売はオーボエ・バスーンの輸入販売を軸に楽器のメインテナンスを手掛けている。不動産賃貸業は保有していた土地に建てた熊谷(主なテナント:ニトリ/北海道風味の和食処とんでん)、本庄(スーパーベルクなど)、髙崎(大和ハウスリアリティマネジメントなど)の3商業ビル。

 がバナーズの今日に至る歴史を振り返ると、波乱万丈!?・・・2002年3月期に最終赤字に陥った。創業家は一切経営から身を引いた。倒産の危機に瀕した際に創業家から株式を譲受し建て直しにチャレンジしたのは、ワールドの創業者:畑崎広敏氏とその関連企業。

赤字/危機は生糸業の衰退が大きな要因とされる。が、バナーズ自体が「衰退」という時流の中で打って出た施策が裏目に出たという側面も大きい。

M&A。振り返ると主要大株主に名をつられた企業は、宮入バブル/春日電機/リード/赤尾電機etc10社近くに及ぶ。がことごとくM&Aの効果とは無縁の結果となった。逆に象徴的だったのが2004年5月に当時から斯界では恐れられていた、宮入バルブによる敵対的買収に晒された事実である。

 企業に歴史あり、を改めて痛感させられる。

 ここにきての収益動向は、微増益基調。2020&21年3月期はコロナ禍で自動車販売業を中心に沈んだ。4000万円の営業損失/4300万円の営業利益。それが22年3月期に急反転(239.8%営業増益、1円増配3円配)。前3月期「10.5%増収、22.0%営業増益、1円増配4円配」。そして今3月期も「1.6%増収(44億400万円)、6.7%営業増益(2億2600万円)」計画。

前3月を振り返ると「資金源」とされる不動産事業は「売上高4億300万円(前年比103.2%)、営業利益2億6200万円(98.1%)」。楽器販売事業は「同4億6700万円(118.3%)、営業利益2300万円(391.0%)」。自動車販売事業が「売上高34億6400万円(前年比110.4%)、セグメント利益3900万円(252.0%)」。

 バナーズとしては売上高のシェアが高い自動車事業で利益を積みたいところだろうが、「新車の納品がずれ込むという、宿命的な問題もあり」という現実も・・・

 本稿作成中の時価は130円台終盤、予想税引き後配当利回り2.35%。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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