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能登半島地震から1カ月 今一度、見直しておきたい「地震保険」や「住宅保証制度」
政府は能登半島地震を「激甚災害」に指定することを閣議決定し、自治体が行う復旧事業に対する国庫補助率の引き上げや、財政的な負担を軽減する方針を明らかにしている[写真拡大]
能登半島地震の発生から一カ月。2月1日の時点で死者・行方不明者は200人を超えた。また、県内の約4万戸以上で断水が続いており、1万4千人を超える人々が避難生活を余儀なくされている。テレビなどのマスメディアでは連日、自民党派閥の政治資金問題などの話題で持ち切りだが、被災地では多くの人々が厳しい寒さの中で不自由な生活を強いられていることを忘れてはならない。さらに避難所では、新型コロナウイルスやノロウイルスなどの感染症の発生も報告されている。石川県では対策チームを発足してこれの対応にあたっているが、被災者の方々が一日も早く安全で安心な生活を取り戻せるようになることを切に願うばかりだ。
政府は能登半島地震を「激甚災害」に指定することを閣議決定し、自治体が行う復旧事業に対する国庫補助率の引き上げや、財政的な負担を軽減する方針を明らかにしている他、「特定非常災害」に指定することも決定した。これにより、運転免許証の更新期限の延長や債務超過となった法人の破産手続きの留保など、被災者の権利や利益を守る措置がとられることとなる。また、インフラの復旧や住まいの確保にはまだまだ時間がかかるとの見通しから、今回の地震で倒壊した住宅の再建費用として、被災者生活再建支援法に基づく最大300万円の支援金に加え、高齢者や障害者の世帯に最大300万円を給付する新たな制度を設ける方針を打ち出した。対象世帯は合計で最大600万円の給付を受けられる見通しだ。政府は、法改正を必要としない新制度を採用することで迅速な給付につなげたい意向だが、そもそも既存の支援金の金額が少ないとの指摘も上がっており、野党からは、法改正による被災者生活再建支援金の倍増を求める声も上がっている。
そんな中、被災地以外でも、今回の地震の影響から、地震保険や地震特約、住宅の保証制度などを再確認したり、見直そうとする動きが起こっている。
地震保険は「地震保険に関する法律(以下、地震保険法)」によって、火災保険とセットで加入することが定められている保険のことで、火災保険では基本的に補償されない地震・噴火・津波などによる損害を補償するものだ。保険金額は、火災保険で設定した保険金額の30~50%(建物:5,000万円、家財:1,000万円が上限)と定められており、国と民間の保険会社が共同で運営する競争原理が働かない公共的な仕組みになっているので、どこの保険会社を介して加入しても、補償内容や保険料は一律となっている。勘違いしやすいのは、地震保険はあくまで「被災者の生活の安定に貢献すること」を目的としたものなので、建物を建て直すための費用を補償する保険ではないということだ。
そこで、各保険会社では、保険の対象である建物または家財の火災の補償をさらに充実させる特約個別に地震火災特約を勧めている。
例えば、損保ジャパン<8630>では「地震火災30プラン」と「地震火災50プラン」という2つのプランを設定している。これは、地震等を原因とする火災の損害が生じた場合、地震保険金・地震火災費用保険金とあわせて、地震火災50プランでは最大で火災保険金額の100%、地震火災30プランでは最大で火災保険金額の80%まで補償されるものとなっている。
また、三井住友海上では、同社の火災保険「GK すまいの保険」、「GK すまい保険 グランド」に、地震等を原因とする火災で建物が半焼以上、または保険の対象の家財が全焼した場合等には、保険金額の5%(1回の事故につき、1敷地内ごとに300万円が限度)が地震火災費用保険金として支払われる特約を設定している。
ただし、注意しなくてはいけないのは、これらの特約はあくまで地震発生の際の「火災」被害に対してのものであり、地震などが原因でも、損壊・埋没・流失による損害に対しては、保険金は支払われない。
一方、住宅メーカーでも好条件の地震保証を付けている企業もある。
例えば、株式会社AQ Group(旧 株式会社アキュラホーム)は、同社が構造チェックを行う耐震等級3相当の新築住宅(戸建)または住宅性能評価機関が耐震等級3と認定する新築住宅(戸建)に対し、引き渡し日から10年間の保証期間内に、もしも計測震度6.8以下の揺れによって対象の建物が全壊、大規模半壊もしくは中規模半壊、半壊した場合、建物の販売価格(税込)を限度額(上限10億円)とし、被害箇所を無料で補修・建替えを保証するサービスを行っている。地震保険や地震火災特約などではカバーしきれない「建物」の保証をしてくれることは、これから新築を考えている人にとっては、大きな安心となるのではないだろうか。
気象庁震度データベースによると、現行の震度階級が導入された平成8年以降、平成31年までの約24年間で54回、毎年2~3回の頻度で、建物倒壊の恐れがあるといわれる震度6弱以上の地震が発生している。首都直下型地震や南海トラフ地震などの発生も懸念されている今、能登半島地震の悲劇は決して対岸の火事ではない。今回の地震に限らず、大規模災害の被災地では、復旧したとしても住むところの目途が立たず、途方に暮れているしまう人も多い。家族や自身の幸せを守るためにも、今一度、地震保険や自宅の保証制度をしっかりと確認し、見直すべきところは見直して、万が一の為に備えておきたいものだ。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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