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また、バッテリー産業は中国・韓国・日本に集約されてしまっている。これからも、こうした単純な生産工程である製造業は、人件費の安い国が仕事を請け負っていくこととなろう。つまり、「産業の空洞化」が起きるのは先進各国の方だ。そこで欧州は、EVが欧州の雇用を根こそぎ奪っていく危険に気付き、2030年までに50兆円を投じて、水素エネルギー活用に舵を切ったのだ。
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■カーボンニュートラルを実現する水素燃料「e-gas(メタンガス)」
欧州が考えている水素エンジンは、グリーン水素、つまり石油から生成するのではなく、水から電気分解して作られた水素を燃料の元とするエンジンだ。このグリーン水素と大気中のCO2を反応させ「e-gas」と呼ぶメタンガスを生成し、これを燃料としてカーボンニュートラルを実現しようとしている。つまり、発生するCO2と吸収されるCO2をバランスさせる方法論だ。
こうして自動車産業の活動を、地球温暖化に悪影響を及ぼさない存在としてしまおうとする試みが始まっている。EVにしたところで、そもそも発電手段がCO2を出していては解決出来ない。そこで、発電においても「e-gas」を使用すれば、電気代の高騰や発電の不安定化を防げることになる。
■「e-gas」は従来のガソリンスタンドを活かせる
さらに、FCV(燃料電池車)に使用出来る水素は99.99%の純度を要求されるため、水素スタンド1件の建設費は5億円程度かかってしまう。だが「e-gas」であれば、現在のガソリンスタンドを小改造するだけで使用出来るメリットがある。新規投資が少なくても済むと同時に、現在の雇用を守れる可能性が高いのだ。
ZEV(排気ガスゼロ)を目指してアメリカ・カルフォルニア州も動き出している。2035年以降、ガソリン車の新車販売が禁止されるのだ。HVはもちろんPHEVも禁止となる。現在は、その対応手段としてはEVしかないものと想定されるが、技術的には、水素エンジン車が先行出来ると考えられる。
■マツダ・ロータリーエンジンが有効
現在のガソリン・ディーゼルエンジンは小改造で「e-gas」対応が出来ると考えられるが、日本のマツダ・ロータリーエンジンは今でも対応出来る。しかも、ガソリンと「e-gas」を切り替えて運転出来る状態なのだ。現在のガソリンと電気を併用するPHEVのように、ガソリンと「e-gas」の両方を同時に使えることで、ガソリン車からZEVへの転換期にも心配が要らないのだ。
日本は、中東の石油にエネルギー源を頼り切っていることが外交上も大変不利な状況になっているため、将来のエネルギー政策としても欧州の「e-gas」政策に応じていくことが国益にかなうものと考えられる。現在は中国市場依存の自動車産業であっても、「e-gas」で欧州が有力市場となっていくことで、バランスが良くなっていくものと考えられる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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