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国内の温室効果ガス、5年連続で減少 再生可能エネルギーの利用が進む
積水ハウスは全国の住宅展示場等施設を再生可能エネルギー100%化へ[写真拡大]
4月14日に環境省が発表した2018年度の温室効果ガスの総排出量によると、温室効果ガスの総排出量の確報値は二酸化炭素(CO2)換算で12億4千万トン。前年度と比べて3.9%減少しており、14年度以降5年連続で減少しており、1990年度以降で最も少なくなった。減少の理由としては、太陽光などの再生可能エネルギーの利用が進んだことや、家庭や職場での省エネ意識が浸透してきたことを挙げている。
経済産業省資源エネルギー庁が発行している「家庭の省エネ徹底ガイド」によると、家庭の照明で54Wの白熱電球を9Wの電球形LEDランプに交換した場合、それだけで電力量90kWhの省エネ効果があり、年間約2,430円もの節約になるという。CO2削減量では52.8㎏だ。また、エアコンの温度を夏は28度、冬は20度程度に設定するなど、家庭での省エネ行動も普通に行われるようになってきたことも大きい。
企業側も、東日本大震災以降はとくにCO2削減への取り組みに積極的だ。例えば、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを推進する国際ビジネスイニシアティブ「RE100」に、2017年4月に日本企業として最初にRE100に参加したリコーグループも、2019年度には中国、タイ、日本にあるA3複合機の組み立て生産を行う全社屋で使用電力再エネ電力に切り替え、販売拠点においても、欧州の販売会社10社が使用する電力を100%再エネ電力に切り替えている。日本国内の取り組みでも、岐阜支社が徹底した省エネと太陽光発電や蓄電装置の導入によって「Nearly ZEB」の認証を取得している他、各地の支社、営業拠点についても順次ZEB化を目指していく計画を発表している。
2017年10月に建設業界で初めて加盟した積水ハウスは、2040年までにグループ全体の事業用電力を100%再生可能エネルギーに転換する目標を掲げている。同社は、固定価格買取制度(FIT制度)を終了したオーナーを対象に自宅の太陽光発電設備などで発電された余剰電力を買取り、同社の事業用電力として使用する「積水ハウスオーナーでんき」を2019年11 月から開始した。2020年3月末時点で同制度の加入者は6,500件を超え、同年2月における再生可能エネルギー買取量は全体で 673MWh/月に達している。同社はこれを受け、全国の住宅展示場375カ所及び体験型施設「住まいの夢工場」5カ所の計380カ所において、再生可能エネルギー由来の電力導入を大手ハウスメーカーで初めて開始した。
事務用品を中心とした通信販売事業を展開する2017年11月加盟のアスクル株式会社も、2030 年までにグループ全体での再生エネルギー利用率を100%にするという目標を掲げ、消費電力における再エネ率向上に向けた取り組みを行なっているが、
RE100だけでなく、企業による電気自動車の使用や環境整備促進を目指す国際イニシアチブ「EV100」にも参加しており、複合的な取り組みで脱炭素社会の実現に貢献している。
こうした企業の取り組みが日本のエネルギー事情を下支えしているのだ。
事業運営を100%再生可能エネルギーでまかなうなんていう話は、一昔前までなら夢物語でしかなかった。全国のほとんどの原子力発電所が停止している今でも、大半の事業用電力は天然ガスや石炭などの化石燃料に頼っているのが現状だ。再生可能エネルギーを推進し、CO2削減目標を達成するためには、省エネや創エネだけでなく、各企業の取り組みのように、個人レベルでもまだまだ工夫次第でできることがあるのかも知れない。(編集担当:今井慎太郎)
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