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テレワーク導入企業の現場を知った
「テレワークを導入している企業を取材してきた」と、やや興奮気味の若手記者からその「実態」を聞いた。彼が総社員数約40名のこの企業を訪れた日は、取材に応じてくれた代表者以外に出社組はたった1人だったという。
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この会社はもともと、米国のシックス・アパート社の日本法人。シックス・アパート社は2001年に設立された、ネットビジネスを促進する製品やシステムを提供する企業。その実力のほどは、日経平均株価の構成企業225社の約半数と取引を実現している点からも容易に窺える。
と同時に同社の、日本流に言えば「太っ腹」ぶりに感心させられた。着実に開拓が進んでいた日本市場で、EBO(従業員による企業買収)による日本法人の独立を認めたというのである。
日本法人時代は、港区に瀟洒なオフィスを構えていた。が、独立(16年)と同時に千代田区内の中小規模ビルに移転した。オフィスは、「10人分の執務スペース」「10人ほど用の会議室」とこぢんまりしたものに変わった。「テレワーク」の本格導入を決めてのことだった。
幸い、テレワークに対する下地が醸成されていた。入り口は11年の東日本大震災時。電力削減の為に週5日のうち1日、オフィスを閉めた。いわばテレワークの実証実験。社員にも好評、かつ「問題なし」が確認されたことから毎年夏季(7-9月)には水曜日を軸に必要に応じテレワーク制を導入。段階を経て、独立後に本格導入した。
朝9時にTV電話でミーティング。通勤に要する時間が省かれたことで始業9時が社員にとっても「楽」になり、午後5時終業体制が容易になった。社員の時間的余裕も担保された。
通常、出社社員は4-5名。日本法人時代に比べ賃料・交通費等々、コストも大幅に削減された。だが全体ミーティングも必要になる。月に1回は、原則として実施している。近隣のレンタルオフィスを活用してだという。
若手記者に、「だけど、社内のコミュニケーションをとることも重要だろう」と問うた。「考えてみてください。どんな職種の会社なのかを。チャットを利用して社内のスタッフ同士のコミュニケーションもきちんととられています」とする答えが返ってきた。
ちなみに時々のオフィスの現状(出社している社員は何人か等)も、BOT(ツイッター機能で作られている機械による自動発信システム)で確認ができる。
テレワークの拡がりは、企業誘致などで地域活性化に貢献することになる。シェアオフィスやコワーキングスペースなど不動産活用の多様化にもつながる。今後の展開を見守ってみたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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