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イオン、小売を起点に事業強化と地域密着で7期連続小売業売上トップへ
イオンは12月28日、三菱商事との包括提携を解消すると発表した。イオンはグローバル競争に打ち勝ち、経営改善を進めるために約400億円の出資を受けて、2008年に三菱商事と資本業務提携を結んだ。その後イオンは自前の調達網を拡大し、お互いのメリットも薄れてきたため包括提携の解消に踏み切った。
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イオンは1758年、四日市で岡田惣佐衛門によって太物・小間物商「篠原屋」として創業された。その後呉服商に業態転換し、同業各社と共同仕入れ会社ジャスコを設立し、ジャスコを中核に他社との提携、合併、会社設立、海外進出を繰り返し、大きく発展した。2001年、ラテン語で「永遠」を意味するイオンに社名変更した。
現在では、GMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、ドラッグ・ファーマシー事業、総合金融事業、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業、国際事業、機能会社・その他など幅広い事業を抱える中核持株会社として、2万1,742店舗を有し、日本の小売業では、6期連続で営業収益1位を達成したイオンの動きを見ていこう。
■前期(2018年2月期)実績と今期見通し
前期実績は営業収益が8期連続最高収益を更新する8兆3,900億円(前年比2%増)、営業利益は前年よりも255億円増の2,102億円(同14%増)と最高益を更新した。
営業収益は全事業増収であったが、営業利益増加の要因としては、GMS事業118億円、ドラッグ・ファーマシー事業56億円、総合金融事業78億円、ディベロッパー事業46億円、国際事業56億円の増益に対し、SM事業29億円、サービス・専門店事業61億円の減益によるものである。
今期上半期営業収益4兆2,664億円(同2%増)、営業利益898億円(同6%増)の実績の中、今期見通しは営業収益8兆7,000億円(同4%増)、営業利益2,400億円(同6%増)を見込んでいる。
■中期計画(2018年2月期~2020年2月期)による推進戦略
グローバルレベルで通用する経営品質と地域(ローカル)に密着した「グローカル」な企業を目指して下記の戦略を推進する。
1.イオンリテール、ダイエーの収益構造改革
・売上高の拡大: イオンスタイル、イオンフードスタイルを推進し、店舗を活性化。
・粗利率の拡大: デリカ改革など商品構成変革と大型ユニットの全国展開。
・営業総利益の改善: 家賃収入改善。
・販売管理費の削減: 働き方改革による販売費と人件費削減。
・ダイエーの改善: イオンと重複事業整理再編、PB商品、会員カード、システム統合。
2.グループ事業の構造改革
・既存事業の見直し: 地域で規模の優位性と地域密着を実現するためグループ企業の再編。
・事業の強化: ディベロッパー、総合金融、ドラッグ事業の進化と革新。
・次の収益の柱育成: ディスカウント事業の確立。
3.事業基盤の刷新
・IT改革推進: 顧客、店舗、商品、後方業務、物流などの領域をデジタル化で改革し、ネットとリアルの融合強化。
・物流改革: 調達と在庫、物流センターと物流網再編、物流センターと店舗オペレーション、補給と兵站機能などの領域改革推進。
小売りを起点に、金融、ディベロッパー、サービスなど事業ポートフォリオの多様化と地域密着を推進するイオンの動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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