少量の血液で14種のがんを検出できるシステム、PFNとDeNAが開発開始

2018年10月30日 08:57

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がん検査システム開発の概要(Preferred Networks発表資料より)

がん検査システム開発の概要(Preferred Networks発表資料より)[写真拡大]

 Preferred Networks(以下、PFN)および、ディー・エヌ・エーとPFNの合弁会社であるPFDeNAは、血液検査で14種類のがんを検出できる深層学習技術利用検査システムの開発を開始した。2021年の実用化を目指す。対象となるがんは、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がんである。

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 日本人の死因第1位は、がんであるものの、早期発見できれば、延命できることもよく知られている。しかしながら、日本国内のがんの検診率は3割程度にとどまっている。その要因は、がんの種類により検査方法が異なっており、対象部位ごとに検査が必要であること、検診費用が高額であること、身体的負担があること、などによる。

 そのため、新たながん検出法の研究が進み、がん種ごとに、組成が異なるリボ核酸:miRNAが体液中に発現することがわかってきている。miRNAは、血液中にもExRNAとして発現するため、少量の血液を採取してExRNAを分析すると、がん種の検出ができる可能性が示唆されている。

 がん検査システムの研究開発では、血液中のExRNAの種類と発現量を分析し、分析値とがん発現との関係を整理した解析スキームの構築が必須となる。そこで今回の開発では、国立がん研究センターが研究用として提供者の同意を得て収集した血液検体と臨床情報を用いる。検体のExRNA発現量は、次世代シーケンサーで計測し、臨床情報のがん発現との関係を深層学習で分析、解析スキームを構築する。なお、血液検体、臨床情報は、個人が特定されない形で取り扱われる。

 検査システムは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認審査等を取得した上で、2021年の実用化をめざす。

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