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理研、有害物質の鉛を吸着・回収するコケの機能を発見
ヒョウタンゴケの鉛吸着性能の評価(pHの影響)。(画像:理化学研究所発表資料より)[写真拡大]
重金属の鉛は有毒であり、環境を汚染する。これを何とか回収する手段はないか?ということであるのだが、今回、理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター生産機能研究グループの研究班が、鉛の吸着剤として用いることのできる、コケの新しい生物機能を発見した。
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ヒョウタンゴケと呼ばれる種類のコケは、原糸体と呼ばれる部分に鉛を高蓄積することが過去にも知られていた。だが、それ以上のことは詳らかではなかった。
鉛による汚染は深刻な問題である。あまり信憑性のある話ではないとはいうものの古代ローマ帝国で水道管に用いられた鉛が深刻な健康汚染を引き起こしていたなどという俗説があるくらいだ。
汚染された水から鉛のよう重金属を除去する手法はもちろん様々な角度から検討されているが、大雑把にいえば、たいていの方法にはエネルギー、つまり化石燃料が必要である。だから持続可能なシステム、つまりは例えば生命体(コケも生命体である)を利用するようなもの、に対する期待は強い。
今回、研究班は、ヒョウタンゴケを無菌状態で液体培養するシステムを作り上げた。そしてその細胞壁が鉛を捕捉していることを明らかにしたのである。また、驚くことにというべきか、このコケの細胞壁は、死んだあとでも鉛を吸着することのできる性質を持っているという。
また、その細胞壁について分析したところ、その捕捉に用いられる成分は、ポリガラクツロン酸とセルロースであることも分かった。
さらに、ヒョウタンゴケが鉛だけでなく、広いpHに対応し、金や白金族元素を吸着する上、海水に浸しても脱着しないなどの優れた性質を持っていることも明らかになった。
今後は、この知見を応用し、何らかの形で実用化していくことが期待される。なお、研究詳細は、米国のオンライン科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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