ソニー、CMOSイメージセンサーに高付加価値 高精度に距離を測定

2017年12月21日 11:09

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裏面照射型Time of Flight方式距離画像センサー「IMX456QL」(写真:ソニーの発表資料より)

裏面照射型Time of Flight方式距離画像センサー「IMX456QL」(写真:ソニーの発表資料より)[写真拡大]

  • 「IMX456QL」による取得距離画像(写真:ソニーの発表資料より)

 ソニーは19日、測距性能の向上と併せて一層の小型化を実現した1/2型でVGAの解像度をもつ裏面照射型Time of Flight 方式(以下、ToF方式)距離画像センサー「IMX456QL」を商品化し、2018年4月からサンプル出荷を開始すると発表した。量産開始時期は11月の予定であり、サンプル価格は3,000円だ。

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 IMX456QLは、2015年に買収したSoftkinetic SystemsのToF方式距離画像センサー技術とソニーの持つ裏面照射型CMOSイメージセンサーの技術を融合して実現したものだ。

 なお、Softkinetic Systemsは18日付で、Sony Depthsensing Solutions Holdingとソニーを冠した社名へと変更した。

●ToF方式とは

 物体までの距離を測定する方式の一つがToFだ。光源から発した光が対象物で反射し、センサーに届くまでの光の飛行時間(時間差)を検出することで、対象物までの距離を測定する。

 光の速度は1秒間に地球を7周半回る速度だ。これは、1ナノ秒(10億分の1秒)に30センチメートル進むことに等しい。

 遠距離から近距離にわたって、精度を向上させるためには、反射光を効率よく捉えるとともに、より高速に距離測定の処理を行なう必要があるのが想像できるであろう。

●「IMX456QL」の特長

 ToF方式では距離の測定が難しかった約10メートルの遠距離においては、感度を高める駆動モードの搭載により、高い検出率を実現。また、約30センチメートルから約1メートルの近距離では、VGAの解像度で高精度な距離画像を取得するという。有効画素数は、640×480で、画素の大きさは、10マイクロメータ角と業界最小水準である。

 結果として、単一のカメラモジュールで、約10メートルの遠距離から30センチメートルの近距離にわたり、高精度な測距性能を実現した。ちなみに、1メートルの測距時の距離精度は、6ミリメートルと高精度だという。

 距離画像をフレーム単位で取得するため、動く対象物に対しても高精度だ。レーザーで対象物をスキャンして測距するスキャン方式に比べて、動体歪みを抑えることができる。フレームレートも、120fps(1秒間に120フレーム)と高い。

●距離センサー(ソニー、「IMX456QL」)のテクノロジー

 反射光信号の読出し精度を上げるための画素技術と、裏面照射型CMOSイメージセンサーの画素技術を融合したものだ。

 この技術は、例えば、ゲームのジェスチャー認識でも利用可能だ。物体認識や障害物認識は、ロボットやドローン、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)で需要があるという。

 CMOSイメージセンサーと同様に、高精度で小型の汎用品としての位置付けであろうか。そのために、IMX456QLのサンプル出荷にあわせて、カメラ開発を容易にするためのソフトウェア開発キット(ハードウェア、ソフトウェア)も提供するのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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