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【今、買いは何?】FCV、EV、PHV、HV、エンジン車の中でどれが買いか?
100年に一度の変革期と言われる自動車産業だが、これだけパワーシステムの種類があるとユーザーは選ぶのに困る。しかし、その仕組みを1つ1つ自力で学んでいくには、ディーラーの営業マンに聞いても知識不足で十分でない。それだけでなく「うそ」に近い説明が堂々とまかり通っている。そこで基礎知識を整理しておきたいを思う。
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■ガソリン車は当分なくならない
EVブームと騒がれて、今にもガソリン車がなくなってしまうように感じている人もいるのだが、30年間はなくならないであろう。それどころか「発電技術とガソリンエンジンの技術開発」次第で、逆転する可能性すらあるのだ。どの方式にも弱点がある。
期待されているEVは「発電技術」が問題だ。車がEVになっても「石炭火力発電」が増えたのではCO2削減にならない。自然エネルギー発電に変換しなくてはならない。しかし、ゴルフカートのような簡易の車両にモーター駆動を載せ、衝突安全などを整備できれば、自動車産業の付加価値が一気に消え去ることになる。それが経済の疲弊を招き、国の存続にかかわる問題となる。EV普及の動向は、バッテリー開発にもかかっている。
FCV(燃料電池車)については長い道のりが予想される。かつて開発段階では「夢の車」と考える向きもあった。燃料電池からは水しか廃棄されないからだ。しかし、水素が燃料であり、水素を作るには電気が必要で、その電気はやはり「発電」であり、EVと同じく発電が自然エネルギーでなければ意味がない。だとすると、水素を介さずに直接EVとすれば良いのだ。水素スタンドの設置には、EVの充電スタンドとは比較にならない費用がかかる。自動車にとってはムダなことだ。
PHV(プラグインHV)、つまり外部電源からも充電可能なHVについては、現状の社会インフラの状況下では、最も現実的だ。自宅や充電スタンドで充電して、足りなくなったらガソリンエンジンで充電する方式だ。かなり都合が良いのだが、これにもエンジンを充電のみに使う方式と、一部動力として直接タイヤを駆動する方式とがある。現状では、エンジンに一部速度域で駆動を任せた方が「燃費」が良い。部品点数も多いので、現代社会の経済問題も起こさない。これが大きい。
HVは一番普及している方式だ。現在のところ燃費が一番良い方式となっている。80km/h以上ではモーターよりもエンジン駆動のほうが効率が良いとされている。そのため低速ではEV、速度が上がるにつれてエンジン駆動の割合を増やしていく。80km/h以上ではガソリンエンジンだけで駆動する。バッテリー容量は少なく、これを大きくするとPHVになり、エンジン、ミッション、排気系を取り除くとEVになる。
エンジン車は、マツダ、日産などが新時代の技術を開発して「熱効率50%」を目指している。60%ぐらいになると、現状の発電効率と拮抗するようだ。すでに実験室段階では熱効率60%のエンジンは出来ている。この開発状況次第で、大規模発電と個別発電の優劣も含めて判断が難しくなってくる。
■決着はいつつくのか?
技術的開発には20年はかかるだろう。しかし、中国、インドなど発展途上国の産業としてEV自動車製造業を育成する動きがあり、現在1000万台規模の生産台数を誇るメーカーは、EV切替えに後れを取ると経営に行き詰まる危険がある。
新興国での自動車は、EVにすることが賢明な方針となるので、既存の大メーカーは、現地に則したEVを作ることが急務だ。必ずしもテスラのように高級車であることにこだわらないことだ。ゴルフカートを安全にすれば良いのだ。それが一つのジャンルとなって普及するのであろう。
■今、買いのチョイスは如何に?
現在日本での車の所有、あるいは近い将来のシェアシステムを考えるのであれば、PHVをお勧めする。バッテリーが今一歩進化して全個体リチウム電池となるまでは、EVの充電スタンドでの充電は30分以上かかるし、航続距離300km程度では不便がある。中古車市場においても、ガソリン車のような値段がつかない恐れがある。電池の劣化が問題なのだ。
そして、ガソリン車の選択を外す必要はない。現在社会はほとんどがガソリン車、少なくなってくるのは20年後だ。それまでは、燃費で一番のHV・PHVを選べば社会に弓引くことにならない。所有する経費についても、総合で最も安くなる。しばらくしたら、もっと熱効率の良いガソリンエンジンも登場するだろう。EVに固定するのはまだ早いだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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