大迫傑が力走!東京五輪に明るい兆し

2017年12月5日 18:24

印刷

■圧巻の内容

 3日に行われた福岡国際マラソンで、大迫傑(26、ナイキ・オレゴンプロジェクト)が圧巻の走りを見せた。タイムは日本歴代5位の2時間7分19秒と日本記録からは離されてしまったものの、充実した内容で日本マラソン界にとって明るい話題となった。大迫は終盤までオリンピック金メダリストのキプロティクと競り合う展開に。最後は引き離されたものの9秒差でフィニッシュした。

 日本を知り尽くしているケニア人ランナー、ビダン・カロキ(DeNA)を40キロ以降とらえそのまま置き去りにしたのは、日本人がケニア人ランナーと十分戦えることを示唆していたといってもいいだろう。

■大迫傑の凄さ

 大迫のポテンシャルは、早稲田大学1年次には駅伝ファンに伝わっていた。1年生ながら1区に起用されるといきなり他校をぶっちぎった。当時山の神・柏原を有する東洋大学に一時抜かれたものの、大迫の力走により往路での差を最小限に抑えられた。それが結果的に早稲田大学を総合優勝に導いたのは言うまでもない。

 さらに大学生でありながらチームとは離れ単身アメリカで武者修行をした。そういったメンタルの強さも今に生きているのだろう。一般の日本人ランナーとは違う方法で速く、強くなっていった。

 そして現在はナイキ・オレゴンプロジェクトに所属し海外の選手と切磋琢磨している。もともとスピードがあるランナーだったが、スタミナもしっかり蓄えたことがレースでは証明されていた。彼の足もとをよく見るとかかとを着地させないフォアフット走法を取り入れている。 フォアフット走法の強みは何と言っても足が地面と接着する時間が極端に短いことである。着地したらすぐ地面を蹴りだしているこの走法はケニア人ランナーによく見られる。

 大迫はこの走法をしっかり身に着けていた。実際やってみれば分かるがこの走法は足への負担がすごく、42.195キロ持続させるのは並大抵のことではない。それを彼はやってのけたのだ。

■東京五輪代表選考会について

 マラソンファンの最大の関心ごとは東京マラソンで世界と対等に戦えるか?ということだろう。今回の大迫の記録は明るい兆しであるとともに海外勢と戦えることを証明した。しかし、まだまだ不十分と言っていいだろう。冬場でコンスタントに2時間7分台を出せる選手。さらにはベストで2時間5分台を出す選手が3人くらい出てくれないと東京マラソンで金メダルというのは難しいだろう。駅伝に力を入れるのもいいが、「マラソンで頂点を狙う!」と本気で口にする選手が一人でも多く出てほしいものだ。

関連キーワード

関連記事