平均時給は1000円越えが当たり前に 9月のバイト・パート時給動向

2017年11月5日 07:51

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 民間調査会社の発表によると、アルバイトやパートタイマーの時給が右肩上がりの上昇を続けていることが分かった。

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■4カ月連続の平均時給1,000円超え

 求人情報サイトなどを運営するディップの『2017年9月バイトルレポート』によると、9月の全国アルバイト平均時給は1,017円で、前月比10円増、前年同月比34円増となった。

 今年の平均時給動向を見ると、1月の988円から3月には1,002円まで上昇したが、4月、5月は連続で減少し、994円まで下がっている。しかし翌6月に1,006円と上がった後は、9月まで4カ月連続の1,000円超えが続いている。

 職種別平均時給では、「オフィス」部門の1,144円(前月比114円増、前年比140円増)、「IT・クリエイティブ/クリエイター」部門の1,121円(同109円増、同41円増)などが大きく増加している。

■51カ月連続で前年同月比プラス

 求人情報サイトなどを運営するリクルートジョブズの『2017年9月度アルバイト・パート募集時平均時給調査』によると、三大都市圏の9月度平均時給はの1,013円で、前月比1円減、前年同月比24円増となった。

 平均時給の前年同月比プラスは、平成25年7月以降、51カ月連続。さらに増加率も1月こそ1.5%だったが、2月以降は8カ月連続で2%超えが続いており、上昇傾向の強さが伺える。

 ディップのレポートが九州地区を含んでいるため、リクルートジョブズと数値で差があるものの、今年1月からの上昇傾向は、ほぼ同じ。ただしディップでは、10月から年末にかけて時給は落ち着く傾向にあるが、リクルートジョブズでは年末まで上昇している点が異なっている。

■小売や飲食などの人手不足は続く

 主婦向けの求人サイトなどを運営するビースタイルの発表によると、9月度の主婦求人の平均時給は、パート・アルバイトで1,020円(前月比32円減)、派遣で1,337円(同11円増)。

 2017年の動向をみると、6月の1,085円から3カ月連続で下落しており、ディップやリクルートジョブズの調査とは異なった傾向を示している。

 ただし「平均時給が900円台のフード・飲食や小売・販売の求人が大きく増加したことが影響」と分析しており、全体的な人手不足が続いていることが伺える。

■時給1,000円以上が当たり前となった都内繁華街

 飲食店向けのサイトなどを運営するシンクロ・フードの発表によると、東京都港区における4月から9月までの飲食店の求人時給は1,094円(前年比20円増)。

 都内でも有数の繁華街である赤坂、青山、六本木、新橋などを抱える港区は、都内の飲食店時給平均の1,065円と比較しても29円高い。

 昨年同時期との比較では、オープニング求人件数は329件→353件、未経験歓迎の求人件数は1,904件→2056件、食事付きの求人件数は2026件→2215件と、求人の絶対数が増えていることも明らかになっている。

■実際の時給はどのくらい?

 上記のレポートは、「求人」の時給であって、この時給で人が集まらなければ、さらに時給をアップして募集をかける必要がある。一方、現状は人手が足りているけれども、「今後の備えに…」と保険の意味でアルバイトやパートタイマーの募集をしている面もありそうだ。

 また時給を決めるもう1つの原因として最低賃金の引き上げがある。例えば東京都の最低賃金は、この10月1日に932円から958円に引き上げられた。5年前(平成24年度)の850円から比較すると、実に100円以上もアップした。

 人手が足りなければ営業を維持できない反面、人件費がかさめば経営が成り立たない。経営者側は難しい舵取りが続きそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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