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血液脳関門を突破可能なナノマシンを開発、高分子ドラッグの脳への送達が可能に
ナノマシンのイメージ図。[写真拡大]
ヒトを含む高等生物の血管網には、血液脳関門という、脳に異物が入り込まないようにするための障壁がある。脳を守る機能を持つとはいえ、脳への薬剤送達を著しく阻害し、脳に作用する薬物の開発を難しくしているこの血液脳関門を突破する機能を持ったナノマシンが開発されたという。
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研究は、川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)、東京大学、東京医科歯科大学、科学技術振興機構(JST)、日本医療研究開発機構(AMED)らの共同により行われた。
血液脳関門を構築する脳血管内皮細胞は、脳がエネルギー源として必要とするグルコース(ブドウ糖)については、特別に輸送する性質を持っている。そこで、薬剤やそのキャリアーをグルコースに結合させて脳に送るという方法論が世界中で研究されているのだが、成功といえるものはまだなかった。
今回、研究グループは、グルコーストランスポーターがグルコースの濃度それ自体に反応して作動することに着目し、グルコースを外部刺激として与えつつ、血液脳関門をナノマシンに突破させることを試みた。
このナノマシンは直径が30ナノメートルほどで、グルコーストランスポーターの位置を認識する能力を持っている。これをマウスに静脈投与し、グルコース溶液を投与したところ、投与量の約6%が脳へと到達することが明らかになった。この6%という数値は、従来のナノマシンと比べ、100倍以上も高い到達率である。
このナノマシンに薬剤を封入すれば、脳に薬剤を届けることもできると考えられ、これを応用すれば、アルツハイマーなど、現在の医学の力が及ばない多くの疾患に、革命的な治療法がもたらされるものと期待することができる。
なお、研究の詳細は、Nature Communicationsのオンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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