1年後の物価見通し、消費者の76%が「上昇する」 9月の消費動向調査

2017年10月12日 07:47

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記事提供元:エコノミックニュース

内閣府は3日、消費動向調査を公表。1年後の物価が上昇すると回答した人の割合は76.2%で前月比0.1%増加した。物価見通しの平均は1.8%で伸び率は鈍かった。

内閣府は3日、消費動向調査を公表。1年後の物価が上昇すると回答した人の割合は76.2%で前月比0.1%増加した。物価見通しの平均は1.8%で伸び率は鈍かった。[写真拡大]

 内閣府は3日、9月分の「消費動向調査」を公表した。調査の結果、調査対象の消費者のうち76.2%のものが「1年後物価は上昇する」とインフレ期待を持っていることが分かった。

 報告書の「消費者が予想する1年後の物価の見通し(二人以上の世帯、原数値)」をみると「上昇する」と答えた消費者の割合は76.2%で前月よりプラス0.1ポイント増加した。一方、低下すると答えた消費者は4.9%で前月との差はプラス1.4ポイントであった。「変わらない」としたものは15.8%で前月に比べマイナス1.5ポイント減少した。

 「上昇する」と回答したものの内訳を見ると2%未満と答えたものの割合が37.0%と最も多く、ついで2%以上5%未満と答えたものが27.4%、5%以上と答えたものも11.8%にも上った。一方「低下する」と回答した消費者の内訳は、マイナス2%未満が3.8%と最も多く、ついで5%未満から2%以上で0.8%、5%以上と回答したものは0.3%であった。

 消費税の影響が一巡した2015年ごろより「上昇する」と答えた消費者は低下傾向にあったが17年4月以降、スーパーや宅配などでの食料品や身の回り品の値上げ傾向の中で「上昇する」と回答する消費者が僅かながらも増加傾向にある。「変わらない」と答えたものの割合は昨年まで増加傾向で推移してきたが、17年以降ではこれに変わって「上昇する」とインフレ期待を持つ消費者が増加傾向にある。

 現在の国内に於ける設備投資に牽引された緩やかながらの景気回復やアメリカ・ヨーロッパ等の海外経済の回復によって日本の労働市場においても求人倍率が高い状態を維持している。この労働市場の逼迫により名目賃金も上昇傾向で推移している。この人件費の高騰が徐々に商品価格に転嫁され消費財の値上げへと変化している傾向も感じられる。従前より企業物価については円安などの影響により上昇傾向を示してきた。これに加え、このところの人件費アップで徐々に消費財への価格転嫁も出てきているようである。

 今のところ日銀の目標である消費者物価上昇率2%という安定的なインフレは実現できていないが、消費者がインフレ期待を持ち始めたことは、消費需要の前倒しが生じ、消費者物価にもプラスに作用しうる可能性もあり、今後の動向に注意したい。(編集担当:久保田雄城)

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