ヤンマーとコニカミノルタが営農支援会社設立、ドローン活用し収益向上へ

2017年10月1日 20:20

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ドローンによるセンシングの様子(写真:ヤンマー発表資料より)

ドローンによるセンシングの様子(写真:ヤンマー発表資料より)[写真拡大]

  • 圃場のマッピングで生育状況のばらつきを見える化(写真:ヤンマー発表資料より)
  • 可変施肥による窒素吸収量の均一化(写真:ヤンマー発表資料より)

 ヤンマーとコニカミノルタは、農業リモートセンシングのサービス事業を展開する合弁会社「ファームアイ」を設立し、農家の収益向上に貢献すると発表した。設立は10月1日付。

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 農水省はコメの輸出を、2019年に10万トンとする目標を掲げる。これは、昨年の10倍の量であり、アジア諸国の所得水準向上と世界的な日本食ブームにあやかる算段だ。一方で、国内のコメ市場は、食の多様化により需要は成熟化しているが、品種改良によるブランド化は盛んであり、炊飯器もコメのブランド化志向に追従する。

 ヤンマーとコニカミノルタは2014年より、農水省のプロジェクト「ISSA(Imaging System for Smart Agriculture)山形」に参画。3年間にわたる実証試験では、10アール当たりのコメの収益が、普及で14.5%増、高品質で33%増となるなど良好な結果を得ている。なお、ヤンマーによれば、8月時点で、この営農支援の受注が60件あり順調な滑り出しという。

●ISSA山形とは

 ISSA山形は鶴岡グリーンファームを農業界代表とするプロジェクトであり、経済界代表はコニカミノルタである。日本の農業就業人口は、2005年から2015年の10年間に40%減少。農家の高齢化が進み、経験知やノウハウの継承難といった大きな転換点を迎えている。このような中、誰でも高品質なコメを高収量で収穫できる営農を支援する。具体的には、ドローンによるコメの育成状態の把握と適切な施肥判断だ。田んぼに入っての一株ごとの測定と勘による施肥から解放される。

●ファームアイは新たな付加価値

 ヤンマーは、営農支援を新たな付加価値として赤字脱却を目指す。9月29日には、JA全農がヤンマーなど大手農業機械メーカー4社に対して機能を絞った農機の開発を依頼したことを発表し、一括購入と合わせて実質的な値下げ要求を行うなど、厳しい環境であることに変わりはない。

 コニカミノルタは、医療事業を新たな柱に加える。7月には、遺伝子診断技術企業を買収。9月25日には、米国の創薬支援企業を買収したと発表している。この事業は、既存のコア技術の横展開という位置付けであろう。

 ファームアイの2023年度の売上目標は、100億円規模だ。日本での稲作農業向けの事業から開始し、他の農作物やアジア地域を中心とした海外へと事業範囲を拡大する。

●コニカミノルタとヤンマーの強みをドローンに搭載

 コニカミノルタが葉緑素計で磨いてきたセンシング技術と赤外線カメラの画像処理技術をドローンに搭載する。そして、稲穂や葉色から稲の育成状態を把握できるマップを作成。このマップを基にヤンマーの土壌診断と施肥の技術を活用して施肥する。可変の施肥は、無線操縦の小型ヘリコプターを活用する。

●ドローン(ファームアイ、営農)のテクノロジー

 葉緑素含有量は葉中窒素含有率と相関がある。そして、葉中窒素含有率とタンパク質含有量は密接に関連し、タンパク質含有量が高い水稲は食味が劣る。窒素含有量が多くなると葉緑素含有量も多くなり、葉は濃い緑色となる。この原理を用いて農作物の育成状態を把握する。

 稲の育成状況(窒素吸収量)を基にした可変施肥は世界初という。カメラで稲の茎数と草丈を測定し、稲の窒素吸収量を推定することで、土壌中の窒素量のばらつきマップを作成する。窒素吸収量は「稲の籾数」との相関が強く、コメの収量に影響を与えるという。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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