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東大など、AI活用の認知行動療法サービスを提供 AIがメンタルヘルス支援へ
(画像: 東京大学の発表資料より)[写真拡大]
東京大学大学院教育学研究科・臨床心理学コース下山研究室は22日、マインドアイル社と共同でAIを活用した認知行動療法サービス「いっぷく堂AI版」の公表を発表した。
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下山研究室では、最先端の認知行動療法に基づき、ITを活用したメンタルヘルス支援サービスを開発してきた。その成果と知見を基に、マインドアイル社による先駆的なAI技術を融合させることで、AIとの自由対話を用いた「いっぷく堂AI版」の開発と効果検証が実現。実施された効果検証により有効性が示されたことから、今回公表に至った経緯がある。
「いっぷく堂」は、自分の身体と心の状態を継続的に確認し記録する「モニタリング機能」と、自分の調子に合わせた過ごし方をして自分をコントロールする「行動活性化機能」に焦点を当てたサービス。さらに進化した「いっぷく堂AI版」では、人工知能が自動的に利用者の心の状態を察し、対話をしながらサポートしてくれる。
具体的には「からだが悲鳴をあげていませんか?」、「お昼ご飯は、好きなものを思い切り食べましょう」など、朝に利用者の気分をチェックしたうえで、今日のおすすめ行動を提案してくれる。夜には、その日一日の見直しをすることで、いっぷく堂と対話しながら「あるがままの自分」を受け入れることができるようになるという。
メンタルヘルスに対するAIの活用においては、うつ病など気分障害に対する「診断」という側面に焦点が当たっていたが、最近は認知行動療法のような「治療」に向けたサポートにおいても研究が加速している。
先行してメンタルヘルスの分野で展開するWoebotは、認知行動療法を駆使するチャットポッド。Facebookメッセンジャー上の対話を通じて、さまざまな働きかけをしてくれる。一連の会話からユーザーの情報を蓄積、ユーザーの感情の動きを学習したうえで柔軟に対応を変えてくれるという。
認知行動療法は隔たったものごとの考え方を修正して、気分や行動を変化させる治療法。うつ病患者などの「考え方の癖」を修正するという点で効果的とされてきた。手法はいろいろあるが、自身の考え方や気分を紙に書きだし医師と振り返るなどその持続性が課題とされていた。
メンタルヘルス系の悩みは対人になると抵抗を感じたり、通院そのものに困難が生じることから、AIを活用した認知行動療法はその手軽さと継続性において期待できることが大きい。AIの進化は日々加速していることから、今後もメンタルヘルスという領域での研究開発が進んでいくもの見られる。
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