ついに出た9秒台!桐生祥秀が9秒98 今後の短距離界に明るい光

2017年9月10日 07:39

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■9秒台がついに出た

 9日に行われた日本学生対校選手権、男子100メートルで桐生祥秀が9秒98を記録し、悲願だった日本人9秒台をついに達成した。高校生の時に10秒01を記録してから実に4年ぶりに自己ベストを更新し、喜びを爆発させた。元々調子がよくなく、今回の大会を回避しようかと考えていただけに嬉しさはひとしおだろう。

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 0秒03縮めるのに実に4年をかけた。その間周りの期待と伸びないタイムに歯がゆい思いを何度もしたことだろう。自分のタイムは伸びないのに周りの日本人選手がどんどん迫ってきて焦った場面もあっただろう。それでも腐ることなく常に日本短距離界を引っ張って来た彼に対し、会場で見ていた観客からは惜しみない拍手が送られていた。

■これが世界のスタートライン

 記録更新というものは不思議なもので、10年以上破られていなかった記録が一度突破されると連続して塗り替えられるということが多々ある。桐生が10秒台の壁をぶち破ったことによりもしかしたら日本人が10秒台の壁を連続して破る可能性も大いにある。2020年に行われる東京オリンピックまでに4人の9秒台選手をそろえることも夢ではないかもしれない。

 桐生が口にしたように、9秒台を出して初めて世界レベルと言っても過言ではない。ここからもう1ランク、2ランクレベルアップして自己記録を更新すること、9秒台を当たり前のように出せるようになることが世界のトップアスリートと言えるだろう。

 それでも今回10秒の壁を打ち破ったということは桐生にとって大きな自信になったはずだ。「自分のやって来たことは間違いではなかった」「根気強く目標に向かって打ち込めば必ず自己ベストを更新できる」ということが証明された。それが迷いを消すことになりさらなる飛躍につながる可能性は大きい。

■大学も自信になったのではないか

 今回の桐生の記録更新は、本人と同じほど東洋大学も喜んでいるかもしれない。元々日本歴代2位の記録を持っていた桐生を預かるというのは相当なプレッシャーがあったはずだ。オリンピック、世界陸上とリレーでメダルを獲れたため、「それでよし」とする終着点はできた。

 しかし今回の記録更新はそれ以上に価値のあるものだったと言えるだろう。大学の陸上競技と言えば真っ先に連想するのは「箱根駅伝」という人も少なくないだろうが、こうした記録が生まれることにより短距離界もヒートアップしてくる。他大学が桐生に追いつけ追い越せとなれば日本短距離界が今以上に面白いことになる可能性は十分に考えられる。

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