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日本精工、1兆円企業の基盤固めと新成長領域の確立を目指す
日本精工は、二・二六事件で暗殺された高橋是清に命じられ、欧米の機械工業を視察した山口武彦によって1916年に創立された。日本における軸受け(ベアリング)のパイオニアとして、精密加工技術により多くの産業の発展に貢献し、自動車部品、精機製品、電子応用製品の分野に進出してきた。100周年を迎えた中期計画では、2019年3月期に売上高1兆円、営業利益1,000億円を目指している。
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日本精工の今期見通しと中期計画達成への道筋を事業別に見てみよう。
■今期(2018年3月期)第1四半期(4-6月)実績と今期見通し
実績は売上高2,438億円(前年比105%)、営業利益233億円(同159%)であった。
売上高は今期見通し9,600億円(同101%)に対し進捗率25%、営業利益は同820億円(同126%)に対し進捗率28%と順調な出足となっている。今期見通しでの海外比率は63%になっており、為替は1ドル105円、1ユーロ115円、1元15.7円と保守的に見ている。
産業機械事業の実績は、工作機械、半導体、建機向けの軸受けとボールねじなどの精機製品が好調で、売上高626億円(同115%)、営業利益55億円(同149%)と貢献した。
主力となる自動車事業では、北米での生産台数減の影響により減収となったが中国市場が底堅く、売上高1,742億円(同102%)、営業利益172億円(同108%)を確保した。
■中期計画の進め方
2019年3月期に売上高1兆円(今期見通し比104%)、営業利益1,000億円(同122%)を目指すとともに、次の100年に向けた進化のスタートとして、持続的成長を実現する中長期施策を開始する。為替は保守的に今期見通しと同じとする。
産業機械事業の鉄道車両では、海外の高速鉄道ニーズへの対応を強化し、風力発電では軸受損傷対策の強化などにより売上アップを図る。今後需要増が期待できる工作機械、半導体、ロボット、医療などへの対応と技術提案力を強化する。
自動車事業では、将来の動力源の多様化、車両運動制御の進化を見据えて、軸受と要素部品を組み合わせたパワートレイイン本部、自動化・電動化などにより複雑化する運転制御に関連するステアリング&アクセンチュエータ本部を設けて、新自動車技術への適応・拡充開発を進める。
世界中で使われている機械の多くを支えている日本精工の製品は、常に変化への対応を迫られている。今後急速に進むとみられる自動運転、IoT、ロボット技術などの社会の変化にどう対応していくか注視する必要がある。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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