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JAEA、次世代太陽電池として有望な「ペロブスカイト半導体」の性質を解明
ヨウ化鉛メチルアンモニウムの構造。(画像:日本原子力研究開発機構発表資料より)[写真拡大]
現在実用化されている太陽電池の多くは、シリコンを使ったものであるが、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、次世代の太陽電池素材としてこれに代わる「ペロブスカイト半導体」に着目、その特性の一部を解明したと発表した。
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太陽電池の歴史を少し紐解いてみよう。その基本原理を最初に提唱したのは、フランスの物理学者ベクレルであり、実に1839年に遡る。実際に発電可能な太陽電池は、1884年にアメリカの発明家フレッツによって開発された。セレン光電池と言い、半金属元素セレンと、金を用いて作られたものである。
セレン光電池の発電効率は少なくとも現代の目で見れば極めて低いもので、これを太陽電池の歴史に数えない論者さえもいる。その話の詳細は他に譲るが、いずれにせよ、太陽光発電の歴史において最も重要なターニングポイントが、1958年、シリコン太陽電池の発明であったことにはほぼ議論の余地がない。
それから半世紀を越える時を経て、シリコン太陽電池は(様々な技術的革新はあったにせよ)なお現役だ。しかし、流石に技術的には煮詰まりが生じており、シリコン系の太陽電池のエネルギー効率上昇は、既に限界に近づいていると言われる。
そこで今回の研究で着目されたのが、ヨウ化鉛メチルアンモニウムである。この物質は、ペロブスカイトと呼ばれる独特の結晶構造を持つ。ペロブスカイト半導体は、エネルギーを電気に変換する際に熱を逃がす割合が非常に小さく、高い変換効率を持っている。
今回の研究では、中性子非弾性・準弾性散乱実験装置によってヨウ化鉛メチルアンモニウムの原子運動が調べられた。結果として、この物質の持つ熱伝導の特性が解明され、それが太陽電池素材として極めて有利なものであることが実証されたという。
また、シリコン系太陽電池の難点の一つは製造にかかるエネルギーコストなのだが、ペロブスカイト半導体は圧倒的に低い製造コストで太陽電池として実用化できる可能性を秘めている。
なお、本研究の詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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