ローソン、タブレット端末と自動釣銭機付POSレジを導入 コンビニ業界初

2017年8月11日 12:01

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タブレット端末(写真: ローソンの発表資料より)

タブレット端末(写真: ローソンの発表資料より)[写真拡大]

  • 新型POSレジ・自動釣銭機

 ローソンは10日、人手不足対応や複雑化する業務の効率化を目指すため、28日より業務用タブレット端末を、11月1日より自動釣銭機と組み合わせた新型POSレジを全国のローソン店舗に順次導入することを発表した。

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 タブレットの導入により、商品陳列や清掃などの出来栄えが写真付きで表示されるため、新人スタッフ用マニュアルとしての活用が期待されている。カウンターファストフーズの調理時間と数量を販売データに基づき店舗ごとに推奨することで、機会ロスの削減など適切な販売管理も可能としている。既に実験的に導入した店舗では、揚げ物類の売り上げが約10%~20%増加したという。

 自動釣銭機の導入では、新人や外国人スタッフでもストレスなく現金の決済が可能となることから迅速な清算が期待できる。POSレジ本体はコンビニ業界初のオールタッチパネル式を採用、設置スペースの削減や各種操作の簡素化、英語・中国語などの多言語化が実現されるという。

 ローソンは海外展開をにらみ、ここ数年新卒採用の1~3割が外国人と多国籍化している。新卒採用はほぼ日本人と同じ採用プロセスを経た留学生だが、外国人アルバイトも積極的に採用してきた。時給の高騰や少子高齢化による人手不足から、コンビニ業界全体が外国人スタッフの採用を強化する実情がある。

 外国人スタッフを雇用し戦力化するには徹底したマニュアルとシステム化が必要とされることから、こうしたタブレットによる効率化や自動釣銭機など簡素化の流れは必然だったと見られている。

 今後こうした効率化の先にあるのは、セルフレジとされている。ローソンを含めコンビニ大手5社は消費者が自分で会計するセルフレジを25年までに国内全店舗に導入することを発表している。ICタグを取り付けることで、各社が展開する商品をカゴや袋に入れたままでも専用機械を組み込んだ台に置くだけで、清算が可能となるという。

 とはいえ、開発を含めた装置の導入だけで莫大なコストがかかることや万引きの問題、店員の安全性など課題も多いことから普及には相当な時間が必要と見られている。当面は今回の新型POSレジなど徐々に装置が改良されていくのだろう。

 ローソンは今後もIT機器や設備をより効率化したものに刷新するなど生産性向上に向けて様々な取り組みを進めていくという。コンビニ業界は店舗レイアウトの大幅刷新やセルフレジの実証実験などその在り方が変わりつつある。生活に欠かせないコンビニの進化には今後も注目をしていきたい。

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