『劇場版ポケットモンスター』が初週動員数首位、20年続くコンテンツの魅力

2017年7月24日 21:09

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アニメ『ポケットモンスター』の主人公であるサトシと、マスコットキャラクターとして知られるピカチュウの出会いを描く本作。旧世代・新世代ともに楽しめる映画だ(c) 2017 ピカチュウプロジェクト

アニメ『ポケットモンスター』の主人公であるサトシと、マスコットキャラクターとして知られるピカチュウの出会いを描く本作。旧世代・新世代ともに楽しめる映画だ(c) 2017 ピカチュウプロジェクト[写真拡大]

■20周年を迎えた『ポケモン』の映画が津東条首位

 7月15日に公開された『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』が、15、16日の週末観客動員数で、初登場1位を記録した。近年は『名探偵コナン』や『ドラえもん』が観客数を伸ばす中、今一つヒット作を出せていなかったポケモン。20周年の節目に原点を描くことで、親となった古参ファンと子供の両方に響く作品を作ることに成功したようだ。

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■『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』とは

 『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』は、アニメ『ポケットモンスター』の20周年を記念して製作された映画だ。アニメで長期にわたり監督を務めた湯山邦彦氏がメガホンを取り、アニメ第1話で描かれた主人公のサトシとパートナーポケモンのピカチュウの出会いを映画化。各作品でもリブートが進む中、ポケモンのアニメ化20周年という記念すべき年にふさわしい内容となっているようだ。

 サトシとピカチュウの出会いだけでなく、映画独自の要素として伝説のポケモン「ホウオウ」のエピソードも描かれている。ホウオウは「ポケットモンスター金・銀」というポケモンの第2シリーズで出てきた伝説のポケモン。一作目の爆発的なヒットを受けてリリースされた金・銀は大きなムーブメントを起こした作品で、当時ゲームをプレイしていた世代にとっては印象的なキャラクターだ。その作品のイコン的存在を『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』に出演させたのは、20年間ポケモンを支えたファンに対する感謝とも取れる設定である。

■ポケモンから「対戦」というアイデンティティは抜けない

 1996年にゲームボーイで発売された『ポケットモンスター赤・緑』は、当初はそこまで大きなヒットを見せた作品ではなかった。しかし、通信機能を使った独自性の高いシステムと世界観から口コミで評価が高まり、20年も続くコンテンツと変貌した。現在でも新シリーズがリリースされており、2016年には『ポケットモンスターサン・ムーン』も発売されている。

 ポケモンは長年、任天堂の携帯ゲームにて新シリーズを展開してきた。それ以外の派生形ゲームも各ハードで登場してきたが、本家『ポケモン』は携帯ゲームから離れることはなかった。その理由の1つに「対戦」という要素が挙げられるだろう。

 ゲームの『ポケモン』は自分の育てたモンスターを他者と対戦させることができるようになっている。ポケモンはRPGとして冒険を楽しむだけでなく、この対戦ツールとしての確立が人気継続の秘密でもある。

 初代ポケモンが出た時代はゲームボーイを使った有線の通信対戦が主流であり、携帯ゲーム機が進化することで現在ではインターネットを通じて世界中の人と対戦できる。また、現在ではわかりやすくなった育成環境や対戦システムの洗練化により、新しい世代の人もポケモンシリーズに触れやすくなっている。こうした対戦ツールとしての進化が、ポケモンの魅力の1つだろう。

■ポケモンは日本を代表するコンテンツとなりつつある

 対戦ツールとしての『ポケモン』は携帯ゲーム独自のシステムだ。2016年に流行したアプリゲーム『ポケモンGO』にもこの要素は存在せず、今では若者が離れて中高年の利用者が目立つようになっているようだ。この点を考えると、やはりどの年齢層も惹きつけるのは本家『ポケモン』だけであると思わされる。

 20年の歳月を経たポケモンは、すでに世代が親から子へバトンタッチしている。今後も時代に合わせた変化を受け入れながらも、「ゲーム」としてのポケモンから離れずに進化し続けてほしいと感じる。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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