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正社員採用が過去10年で最高水準に
2016年12月の有効求人倍率は1.43倍と、1991年7月以来25年5カ月ぶりの高水準となり、人手不足が深刻化している。また、新規学卒者の就職内定率は 2016年12月時点で85.0%(大卒)と6年連続で上昇し過去最高となっている。さらに、政府は「働き方改革」をアベノミクス第三の矢の柱として、副業・兼業など柔軟な働き方を議論している。しかし一方で、地域間や業界間、社員・非正社員間などの雇用動向には依然として格差がみられる。そこで、帝国データバンクは、2017年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施した。
まず、2017年度(2017年4月~2018年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は64.3%となり、前回調査(2016年 2月実施)を1.4ポイント上回った。採用予定のある企業は3年連続で6割を超え、過去10年で最高となった。他方、「採用予定はない」は26.2%となり、2011年度以降7年連続で減少し、10年ぶりの低水準となった。とりわけ「大企業」では、2017年度に正社員の「採用予定がある」と回答した企業が83.8%にのぼり、調査を開始した 2005年度以降で最高を更新した。半数を超える大企業が人手不足を感じているなか、大企業の採用予定は 2002年1月から2008年2月まで続いた戦後最長の景気回復期を上回る水準となり、採用に積極的となっていることが浮き彫りとなった。
採用予定のある企業からは、「人手不足解消と合わせ、将来の人材育成のためにも新卒採用を増加させる」(パン・菓子製造、山形県)や「業務量と働き方のバランスを考慮すると、業務量増加に対して時間外労働の削減を実現するため、採用を増加させる必要がある」(ソフト受託開発、大阪府)など、業務量増加に対する負荷を軽減させることを目的とする企業が多くみられた。また、「新事業開始にともない中途採用の社員が必要となっており、若干名の増加となる」(一般貨物自動車運送、秋田県)といった事業拡大や、「景気の状況よりも社員の平均年齢が上がっているので世代交代は必要」(製缶板金、石川県)といった従業員の高齢化への対応として正社員を採用するという意見もみられた。売上高別では50億円未満が5社(構成比21.7%)、資本金別では1億円未満が7社(同30.4%)に上り、業容が比較的小さい企業とも取引があることがわかった。
他方、採用予定のない企業からは、「一昨年から賞与を出せておらず、昇給もない状況で、普通の待遇が提供できないため、正社員などの採用は自粛している」(通信機械器具・同関連機械器具製造、東京都)や「新たな人材を入れたい気持ちはあるが人件費を増やすことのリスクの方が大きく、機械化による効率化を目指している」(各種商品卸売、愛知県)、「現在の人員で適正」(内航船舶貸渡、大分県)といった声があがった。
2017年度(2017年4月~2018年3月入社)の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は47.6%となった。非正社員の採用予定は2011年度以降5年連続で上昇してきたのち、2年連続で減少しており、非正社員に対する採用意欲はやや弱まった。(編集担当:慶尾六郎)
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