女性の婚姻可能年齢、16歳から18歳に引き上げへ

2017年1月22日 19:25

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婚姻可能年齢に関する規定の法改正は、実現すれば70年ぶりとなる。(画像:いらすとや)

婚姻可能年齢に関する規定の法改正は、実現すれば70年ぶりとなる。(画像:いらすとや)[写真拡大]

 現在の日本において、結婚が可能となる年齢は、男性が18歳、女性が16歳である。しかし、これを「男女ともに18歳」に改めるという。法務省が今国会に民法改正案として提出し、2021年以降の施行を目指す。21日、日本経済新聞などが報じた。

 また、同改正案では、「成人」の年齢も20歳から18歳へと引き下げるとしている。現状では、未成年が婚姻する場合には両親の同意が必要であると民法で定められているが、この改正案が国会を通過すれば、その規定も意味を失う。つまり、成人でないものは婚姻できなくなるのである。

 21世紀の先進国で、男女の婚姻可能年齢に差異を設けている国は少ない。日本でこのように定められたのは明治時代のことで、当時は「女性の方が性的成熟が早い」と認識されていたからだ、という話だ。そもそも、平均初婚年齢なども現代日本とはまったく違った時代のことなわけで、アナクロ感は否めない。また国際的な批判もあり、国連から是正勧告が出されたこともある。

 もう一点、これによって改善される問題がある。青少年保護条例等についてである。多くの地方自治体が、18歳未満に対する性的な事柄を、条例などによって禁じている。ただし特例がある。女性は16歳から結婚できるので、結婚してしまえば条例違反にならない、という特例だ。抜け穴と言ってもいい。

 しかし考えてみればこれも道理の通らない話であり、今回の法改正によって根絶されるなら、ようやく「青少年保護」という観念も筋が通るようになる、と言えるのではなかろうか。

 もっとも、現実に18歳未満で結婚する女性が日本にどれだけいるのかといえば、ほとんどいないそうだ。2015年の人口動態調査によれば、結婚する女性が全体で約51万人なのに対し、16~17歳は1,232人だったそうである。約0.2パーセントだ。つまり、制度が変更されてもそれで困るという人はほとんどいないわけである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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