世界で4つ目の曜変天目茶碗が発見される

2016年12月22日 12:18

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 世界に3点しか現存しないとされ、そのすべてが日本の国宝に指定されている「曜変天目茶碗」の、幻とも言うべき4点目が発見されたという。テレビ東京の鑑定番組『開運なんでも鑑定団』に取り上げられ、番組の鑑定士である中島誠之助氏が「南宋時代の曜変天目に間違いない」と断定、2,500万円の値を付けた。

 茶碗とともに伝わった書などを元に中島氏が分析したところによると、これはもともと室町幕府・足利将軍家で用いられていたものであり、室町後期に幕府で権勢をふるった戦国武将・三好長慶が手に入れ、その子孫へと伝わったものであろうという。

 曜変天目とはそもそも何であるか。ごく簡単にいえば、「天目茶碗の一種」で、特別な美しさを持ったもののことである。天目茶碗とは、黒い艶やかな釉薬がかかった陶磁器のことだ。本場中国やその他の世界では言うほどの評価は与えられていないのだが、千利休の時代より、日本では珍重されている。

 とはいえ天目自体は珍しいものではない。現代でもごく普通に作られているし、南宋時代のものに限っても大量に日本に伝来している。しかしその天目の中で、別格の評価を与えられているものが二種類ある。一つは油滴天目、そしてもう一つが曜変天目である。

 油滴天目と曜変天目の間の区別は必ずしも厳密ではなく、どちらに分類されるか学説の分かれる作品もあるのだが、確実に曜変天目茶碗であるとみなされ、また完全な形で現存するものは、大徳寺龍光院蔵曜変天目茶碗、藤田美術館蔵曜変天目茶碗、そして静嘉堂文庫蔵で曜変天目の最高傑作といわれる通称「稲葉天目」、以上の3点のみであった。そこに、今回の発見で4点目が加えられたというわけである。

 ただし、付記しなければならないことがある。一般論を述べると、新しい重要な美術品が発見された際には、その真贋について、十分な検討を加えることが必要だ。もちろん、『開運なんでも鑑定団』は多くの専門家が参画し、高度な検証を行った上で放送されている。しかし、前述のごとく、今回のこの曜変天目の真贋について、疑義を唱えている別の論者がいるのだ。

 それは、大阪市立東洋陶磁美術館の小林仁主任学芸員だ。氏は、ただの学芸員ではない。近年中国で新たに発見された曜変天目(ただし破損がひどいため現存する曜変天目茶碗としてはカウントされていない)の科学的分析を手掛けるなど、曜変天目の専門家というべき人物だ。その小林氏が、自身のツイッター上において、「鑑定団」に出た茶碗は「C級レベルの贋物相当」であり、「比較的最近のもの」であろうと論じているのである。

 これ以上は難解な専門的議論となるので、両論を併記するにとどめる。詳しい検証は、今後の研究に委ねたい。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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