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スマート農業市場規模、15年度は97億円、22年度には331億円に拡大
農業にも大きな変革の波が押し寄せている。スマート農業とは、従来からの農業技術とロボット技術や ICT 等の先端技術を連携させることで、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業であり、農業の生産から販売まで先端技術を活用し、高い農業生産性やコスト削減、食の安全性や労働の安全等を実現するものである。
矢野経済研究所では、国内におけるスマート農業について調査を実施した。調査期間は2016年7月~9月、調査対象はスマート農業参入事業者、農業法人<水稲/農園芸(野菜・果樹・花き)/酪農・畜産>、関連団体・協会、管轄官庁等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail 等によるヒアリング調査および文献調査を併用した。
それによると、2015年度のスマート農業の国内市場規模は97億2,400万円であり、2016年度110億4,800万円、2022年度には331億8,600万円まで拡大すると予測している。スマート農業市場は、2017年度頃まで栽培支援ソリューションが中心となり、2018年度以降は、販売支援ソリューションや経営支援ソリューションが拡大する見通しである。また、農機の有人機と無人機による協調作業システムや無人運転を実現するシステムが普及していくことから、2018年度頃から精密農業がさらに拡大すると予測している。
一方で、スマート農業における課題・問題点としては、農業は、①他業種に比べ設備導入までの時間が掛かる、②データがストックできるまで時間が掛かる、③スマート農業の必要性を感じていない生産者が多い、④零細な生産者が多いため、大きな設備投資が難しい、といったことが挙げられる。そのため、メーカーが新規の製品開発等を行った場合は、安価での製品提供が困難となり、その結果として導入が進みにくくなると考えるとしている。今後、官民連携してでき得る限り標準化等を進めたり、既存の技術・部品の活用等により、製品開発コストの削減につなげる努力が必要であると考えるとしている。
ソリューション分野別にみると、2015年度の栽培支援ソリューション市場規模は30億6,700万円であり、内訳は農業クラウド11億2,500万円、複合環境制御装置14億2,500万円、畜産向け生産支援ソリューション5億1,700万円であった。
2015年度の販売支援ソリューション市場規模は9億7,300万円であった。販売支援ソリューションでは、今後はAI やビッグデータを活用した需給予測などのソリューションが登場し、市場は拡大すると見込んでいる。
2015年度の経営支援ソリューション市場規模は25億6,300万円であった。現在は会計業務におけるソフトウェアが中心であるが、今後は農家の経営を把握し、生産者向けのサービスを提供する金融機関や保険会社で利用されるソリューションが増加していくと考える。
2015年度の精密農業市場規模は29億500万円であり、内訳はGPSガイダンスシステムが10億500万円、自動操舵装置が19億円であった。今後の精密農業市場は、2016~2017年度頃からGPSガイダンスシステムや自動操舵装置の利用が進み、安全性確保ガイドライン策定後の2018年度頃には、農機のIT化による車両型ロボットシステムが登場すると見られる。
2015年度の農業用ロボット市場規模は2億1,700万円であった。農業用ロボットは 2020年度頃までは実証実験や研究開発を中心に展開されており、本格的な商業販売は2020年度以降とみられる。 (編集担当:慶尾六郎)
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