「類は友を呼ぶ」増配・記念増配銘柄はマイナス金利関連人気を高め2本建てアプローチ妙味=浅妻昭治

2016年2月29日 09:34

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

 あたかも「類は友を呼ぶ」である。しかも「とかくメダカは群れたがる」と揶揄される「メダカ」ではない。バリバリの主力株だ。日産自動車<7201>(東1)である。同社株は、前週末26日夜に自己株式取得を発表した。取得上限は半端でなく、3億株(発行済み株式総数の6.7%)、取得総額も4000億円に達する。この大規模な自己株式取得は、今年2月15日に発表したソフトバンクグループ<9984>(東1)の取得上限1億6700万株(発行済み株式総数の14.2%)、取得総額5000億円の自己株式取得に次ぐもので、それから2週間、乱高下していたマーケットで孤軍奮闘していたソフトバンクGが、まさに「友を呼んだ」ことになった。

 両社株には共通項が多い。いずれもカリスマ経営者がトップに君臨し、しかも株価は、昨年来安値水準に低迷している状況での自己株式取得であり、投資家に対して自社株が売られ過ぎ、下げ過ぎとアピールするのにこのうえもない資本政策の発動である。ソフトバンクGは、自己株式取得発表の翌日にはストップ高したが、同様に今週週明けの29日に日産自もストップ高するようなら、前週末に上海で開催されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)でまとめられた共同声明が、週明けに不安定化している金融市場を安定化策としてポジティブに評価するか、それともネガティブに反応するかには関係なく、自助努力の株価対策としての自己株式取得は、ソフトバンクのみの「単発エンジン」から日産自も加わった「双発エンジン」にステージが変わって株価を押し上げることを証明することになる。とすれば今後も、決算期末に向け株価意識を高めている主力株に対して「友を呼ぶ」効果を誘発するかもしれない。

 「類が友を呼ぶ」のは、自己株式取得だけではない。増配会社、なかでも記念増配会社は、「群れ」でやってきている。前週末26日も、日本製粉<2001>(東1)が、創立120周年の記念配当2円を上乗せして今3月期の年間配当を14円(前期実績12円)、東北新社<2329>(JQS)が同じく創立55周年記念配当3円をオンして17円(同14円)、リョーサン<8140>(東1)が、東証1部上場30周年の記念配当50円を加えて140円(同80円)に大幅増配し、また今期純利益を上方修正した大阪製鐵<5449>(東1)も、今期配当を50円(同35円)へ、今期配当を未定としていたエムスリー<2413>(東1)も、9円(同8円)へそれぞれ増配した。

 このうちリョーサンは、昨年11月に自己株式取得を発表して株価が、昨年来高値3335円まで300円高し、この終了に世界同時株安が重なって倍返しの2705円へ急落したが、この安値で大幅増配を発表したもので、積極的な株主還元策を継続するコーポレートガバナンス(企業統治)関連株人気を高めることが予想され、週明けは日産自とともに注目銘柄としてクローズ・アップされることが有力だ。

 もともと増配銘柄は、昨年6月に施行されたコーポレートガバナンス・コードを先取りして大きく増加しており、配当総額は3年連続で過去最高となり2015年度の配当総額は、約10兆8000億円と初めて10兆円を超えると見通されている。この増配会社のなかには、アルプス電気<6770>(東1)のように、今年1月に今3月期業績を下方修正し減益転換を予想しながらも、年間配当を25円(前期実績15円)に増配した銘柄まで含まれているのである。今年1月19日に日銀が、初めてマイナス金利を導入する追加金融緩和策を決定し、直ちにメガバンクなどが定期預金金利の引き下げを行っており、それだけインカム・ゲインへのニーズが高まっていることから、3月期期末にかけ「類は友を呼ぶ」で増配銘柄ラッシュは十分の想定範囲内となる。

 そこで今週は年初来、増配を発表してきた銘柄に狙いを絞り、インカム・ゲインを重視しつつあわよくばキャピタル・ゲインも享受できる2本建て投資で、増配銘柄のうち配当利回りランキングの上位にランクされる銘柄にアプローチすることをお勧めしたい。上位銘柄は5%、6%にも回る高利回り株が含まれ、多くの銘柄が、昨年来安値水準に低迷し投資採算的にも割安であるだけに、逆張りも一法ということになりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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