水深5,500mの海山でレアメタルを含むコバルトリッチクラストの採取に成功―JAMSTECと高知大

2016年2月17日 18:59

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水深4,500m付近のコバルトリッチクラスト。(海洋研究開発機構の発表資料より)

水深4,500m付近のコバルトリッチクラスト。(海洋研究開発機構の発表資料より)[写真拡大]

  • 水深4,500m付近で採取したコバルトリッチクラストの写真。 (岩石の黒い部分がコバルトリッチクラスト) (海洋研究開発機構の発表資料より)
  • 水深5,500m付近のコバルトリッチクラスト。(海洋研究開発機構の発表資料より)

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)と高知大学は、世界で初めて5,500mを超える大水深の海山の斜面でコバルトリッチクラスト(レアメタルの1種であるコバルトなどを含む鉄・マンガン酸化物)の存在を確認し、研究用試料の採取に成功した。

 古い海山の斜面には、10cmあまりの厚さのコバルトリッチクラストが広く分布しており、コバルト、ニッケル、白金などのレアメタルやレアアースを含む海底金属資源として注目されている。

 今回の研究では、無人探査機「かいこうMk-IV」を用いて、日本の南東約1,800km沖に存在する巨大平頂海山「拓洋第5海山」の南方尾根の水深5,500mに広がるコバルトリッチクラストの現場観察に成功し、研究用のコバルトリッチクラスト試料を採取した。これまでは、水深3,500mまでの現場観察と試料採取が連続的に行われていたが、そこから2,000mも水深方向に延伸するものである。

 さらに、水深1,150m、3,000m、5,500mという異なる3つの水深での電磁流速計の設置、現場培養・化学吸着装置を設置したため、今後はコバルトリッチクラストが形成される環境で有用なメタルを効率的に集めるメカニズムの観察や、コバルトリッチクラストの成長や有用メタル濃集に関わる微生物の観察が可能になると期待されている。

■無人探査機「かいこうMk-Ⅳ」によるコバルトリッチクラスト大水深調査のようす

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