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長時間のゲームプレイは、子供の言語機能などに悪影響―東北大・竹内光氏ら
初回参加時におけるビデオゲームプレイ時間と脳の拡散性の正相関(a,b)と数年後の脳の拡散性の変化の正相関(c,d,e)を示す図。(東北大学の発表資料より)[写真拡大]
東北大学の竹内光准教授・川島隆太教授らの研究グループは、ビデオゲームを長時間プレイすることが、脳の前頭前皮質、海馬、基底核といった高次認知機能や記憶、意欲に関わる領域の発達性変化や言語性知能に対する影響に関連していることを明らかにした。
ビデオゲームをプレイすることは視空間能力に対する好影響などが知られている一方で、特定タイプの言語記憶、注意、睡眠、学業、知識などに対する悪影響などが知られている。また、ビデオゲームをプレイしている時は、快感や意欲に関わる神経伝達物質のドーパミン系のシステムにおける多くのドーパミン放出が起こり、ビデオゲームは中毒につながりうることも知られている。
今回の研究では、悪性腫瘍や意識喪失を伴う外傷経験の既往歴等のない健康な小児を対象に、平日に被験者がビデオゲームをプレイする平均時間と言語性知能、動作性知能、総知能、脳の局所の水分子の拡散性とよばれる指標の関係を、実験開始時(初回)と3年後(2回目)に調べた。
その結果、初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の低い言語性知能と関連し、初回参加時から2回目参加時への、より一層の言語性知能低下につながっていることがわかった。
また、初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の前頭前皮質、尾状核、淡蒼球、左海馬、前島、視床等各領域の水の拡散性の高さ(高いほど水が拡散しやすく組織が疎であることの証拠)と関連しており、さらに初回参加時から数年後の2回目参加時へのこうした領域の発達性変化への逆の影響(水の拡散性の発達に伴う減少がより少ない)と関連していること、言語知能、動作性知能、総知能のいずれも、共通して、左海馬、左尾状核、左前島、左視床、周辺の領域の水の拡散性と負相関していることも明らかになった。
この研究成果は、小児がビデオゲームを長時間プレイすることで、脳の高次認知機能に関わる領域が影響を受け、これが長時間のビデオゲームプレイによる言語知能の低下と関連することを示唆するもので、発達期の小児の長時間のビデオゲームプレイには一層の注意が必要であると考えられる。
なお、この内容は「Molecular Psychiatry」に掲載された。論文タイトルは、「Impact of videogame play on the brain’s microstructural properties: cross-sectional and longitudinal analyses」。
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