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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】JSPは16年3月期2桁増益予想や低PBRを見直し
JSP <7942> は発泡プラスチック製品専業の大手で、自動車用や住宅用など高付加価値製品の拡販を強化している。株価は8月の戻り高値2195円から悪地合いの影響で9月7日の年初来安値1816円まで調整したが、その後は1900円近辺で推移して売り一巡感を強めている。16年3月期2桁増益予想や0.9倍近辺の低PBRを見直して反発展開だろう。
■発泡プラスチック製品専業大手、自動車用「ピーブロック」などを拡販
三菱瓦斯化学 <4182> がTOB(買付価格2686円)を実施し、15年3月16日をもって同社の連結子会社となった。
押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレー材、住宅用断熱材など)、ビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)、その他事業(一般包材など)を展開している。
自動車部品用発泡ポリプロピレン「ピーブロック」や、住宅用高性能断熱材「ミラフォーム」など、高機能・高付加価値製品の拡販を強化するとともに、さらなる高機能新製品の開発を強化している。
14年4月には、発泡ポリプロピレンビーズ(成型品「ピーブロック」用ビーズ)の新工場として北九州工場が生産を開始し、国内では栃木県鹿沼市、三重県四日市市との3拠点体制を確立した。
14年11月には中国・武漢およびタイで、それぞれ「ピーブロック」を製造販売する子会社の設立と新工場の建設を発表した。需要が拡大している中国およびタイにおいて「ピーブロック」の安定供給を図る。生産開始時期は中国が17年1月、タイが16年1月の予定だ。中国・武漢は中国における「ピーブロック」製造の4拠点目となる。
15年1月には米国で電子線架橋法による発泡ポリエチレンシート事業に参入した。米ミシガン州ジャクソン工場内の新工場で生産開始した。一般の発泡ポリエチレンシートに比べて、より均一で微細な気泡構造と表面性能が特徴であり、医療用、自動車部品用など高品質・高機能分野での需要が期待されている。
なおインドにおける「ピーブロック」生産については、工場建設を17年3月期以降に延期した。インドにおける需要は拡大基調だが、成長速度が依然緩やかであり、採算性の確保に時間を擁するためとしている。インド向けには当面、シンガポール子会社から製品供給する。
■16年3月期2桁増益予想
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)283億77百万円、第2四半期(7月~9月)298億89百万円、第3四半期(10月~12月)299億75百万円、第4四半期(1月~3月)286億82百万円、営業利益は第1四半期9億25百万円、第2四半期17億48百万円、第3四半期17億29百万円、第4四半期12億65百万円だった。
また15年3月期の配当性向は22.1%だった。ROEは14年3月期比1.7ポイント低下して6.5%、自己資本比率は同2.6ポイント上昇して56.0%となった。
16年3月期から、有形固定資産の減価償却方法を「主として定率法」から「主として定額法」に変更する。当社グループの生産設備は技術的陳腐化リスクが少なく安定的な使用が見込まれるため、定額法による期間損益計算がより合理的に使用実態を反映できると判断した。
今期(16年3月期)の連結業績予想(4月30日公表)は、売上高が前期比1.8%増の1190億円、営業利益が同23.5%増の70億円、経常利益が同17.5%増の71億円、純利益が同18.8%増の48億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で予想配当性向は18.6%となる。
前提として、為替レートは1米ドル=120円、1ユーロ=130円、原油価格(ドバイ)1バーレル=60ドルとしている。売上面では原油価格下落に伴って販売価格が低下するが、販売数量が増加する。国内では消費増税反動影響が一巡して高付加価値の住宅用断熱材「ミラフォーム」の需要が回復に向かい、海外は自動車部品用途や家電製品包装材用途の「ピーブロック」の好調が続く見込みだ。
利益面では、高付加価値の住宅用断熱材「ミラフォーム」の需要回復などプロダクトミックス改善効果、コストアップに対する製品価格是正効果、そして償却方法変更による減価償却費の減少(約6億60百万円)も寄与して2桁増益見込みだ。
セグメント別の計画を見ると、押出事業は売上高が同1.3%減の394億02百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同45.9%増の19億67百万円、ビーズ事業は売上高が同4.9%増の737億75百万円、営業利益が同21.0%増の58億71百万円、その他事業は売上高が同12.7%減の58億34百万円、営業利益が同45.8%減の32百万円としている。
第1四半期(4月~6月)は売上高が前年同期比2.0%減の278億04百万円と減収だったが、営業利益が同78.3%増の16億49百万円、経常利益が同57.2%増の16億13百万円、純利益が同67.9%増の12億71百万円と大幅増益だった。
原燃料価格の低下、償却方法変更による減価償却費の減少、高付加価値製品拡販によるプロダクトミックスの改善、海外事業における販売数量増加、円安に伴う円換算額の増加などが寄与した。売上総利益率は27.3%で同4.0ポイント上昇した。
セグメント別に見ると、押出事業は売上高が同7.6%減の90億46百万円だったが、営業利益(全社費用等調整前)が同2.3倍の4億96百万円だった。高付加価値製品の拡販や製造コスト低下などで営業損益が改善した。
ビーズ事業は、売上高が同2.1%増の173億64百万円、営業利益が同59.7%増の13億81百万円だった。高付加価値の「ピーブロック」が自動車の新規部品採用拡大や家電包材緩衝剤の需要拡大などで好調に推移し、製造コスト低下も寄与して増収増益だった。その他は売上高が同11.9%減の13億93百万円、営業利益が10百万円の赤字(前年同期は11百万円の赤字)だった。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.4%、営業利益が23.6%、経常利益が22.7%、純利益が26.5%である。概ね順調な水準であり、通期ベースでも好業績が期待される。
■新中期経営計画で18年3月期営業利益率6.5%以上目標
15年5月に発表した新中期経営計画「Deepen&Grow2017」では、前提条件を1米ドル=110円、1ユーロ=140円、原油価格(ドバイ)1バーレル=105ドルとして、目標数値に18年3月期売上高1350億円(海外が約530億円)、営業利益88億円(売上高営業利益率6.5%以上)を掲げた。セグメント別売上高は押出事業444億05百万円、ビーズ事業837億76百万円、その他事業68億19百万円としている。
有望テーマ絞り込みによる新製品の事業化を推進して、新製品売上高100億円を目指す。国内事業は高収益体質へのシフトを加速する。海外事業は「ピーブロック」の拠点拡大と能力増強を推進するとともに「ピーブロック」に次ぐ第2の柱の育成を目指す。そして3年間合計の設備投資額は約200億円としている。中期的に収益拡大基調が期待される。
■株価は悪地合いの売り一巡、低PBRも見直し
株価の動きを見ると、第1四半期の大幅増益を好感した8月18日の戻り高値2195円から悪地合いの影響で反落し、9月7日の年初来安値1816円まで調整した。その後は1900円近辺で推移して売り一巡感を強めている。
9月18日の終値1915円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS161円01銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2190円61銭で算出)は0.9倍近辺である。なお時価総額は約602億円である。
週足チャートで見ると再び13週移動平均線を割り込んで調整局面だが、徐々下値を切り上げて売り一巡感を強めている。16年3月期2桁増益予想や0.9倍近辺の低PBRを見直して反発展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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