住宅業界に回復の兆し。毎月1000人を集客する大人気の住宅イベントとは?

2015年8月23日 19:52

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

単純に言い切ることはできないが、イベントや展示場、WEBサイトに集客力のある住宅メーカーは、それだけ顧客心理を理解しているということにもつながるのではないだろうか

単純に言い切ることはできないが、イベントや展示場、WEBサイトに集客力のある住宅メーカーは、それだけ顧客心理を理解しているということにもつながるのではないだろうか[写真拡大]

 国土交通省が2015年7月31日付で発表した、新設住宅戸数の動向(建築着工統計調査報告)によると、今年6月の新設住宅着工戸数は前年同月比で16.3%増の8万8118戸、4か月連続の増加となることが分かった。

 消費増税の駆け込み需要による反動減からの回復は喜ばしいことではあるが、昨今の住宅建設市場を取り巻く状況は、必ずしも明るいとは言い難い。17年に控えた2段階目の消費増税や、少子高齢化によって世帯数が減少に転じるといわれる2019年問題や増え続ける空き家問題、就業継続の不安によるローン構築への戸惑いなどから、不動産への積極的な消費心理そのものが低下してしまうことが懸念されている。

 とはいえ、住宅を供給するメーカー側も、ただ手をこまねいているわけではない。省エネ性能やエコ仕様、太陽光発電設備などの創エネや蓄電仕様など、住宅そのものの性能向上はもちろんのこと、高齢化社会に対応するバリアフリー住宅、さらには買い物や地域コミュニティなどの包括的な生活環境まで含めた多様なサービスの提供を行い、購買意欲の向上に努めている。

 しかし、サービスが充実すればするほど、購入する側は選択が難しくなる。一昔前のように価格や間取り、メーカーの知名度だけを信頼して選ぶような時代ではなくなった。大手メーカーの安心感も良いが、将来的な暮らしや細かな日々のメンテナンスのことを考えれば、地域密着で地元を知り尽くした地方工務店や中小のメーカーの方が「かゆいところに手が届く」場合も多いだろう。

 では、そのような情報はどこから、どうやって仕入れればよいのか。住宅関連の情報雑誌や折込チラシ、住宅展示場に出向くだけでなく、最近ではインターネットを使って検索し、検討材料にするケースも増えているようだ。例えば、国内最大級のポータルサイト・Yahoo! JAPANでも不動産情報サイト「Yahoo! 不動産」を提供しており、利用者だけでなく販売者側からの評判も上々で、双方の利用者も伸びているようだ。また、ミサワホーム<1722>などでは「ミサワ・ウェブダイレクト」と題し、同社特設サイト上で、まるで実際の建物を見学しているかのようなWEBバーチャル展示場や、WEB限定の特別仕様の住宅商品を展開している。

 情報提供の方法としては、アキュラホームも面白い。同社は、マイクロソフト社が提供するインターネット電話サービス「Skype」を利用し、東京などのイベント会場と、大阪や広島、名古屋、兵庫など、全国の展示場などを生中継でつなぐ試みを毎月行っている。イベントは、住宅のデザインや暮らしの提案、家守り活動などについて、同社の住宅の最新情報や、さらには全国一斉に行う大抽選会など盛りだくさんな内容で、毎回、全国で1000人以上の参加者を集める盛況ぶりをみせているという。

 単純に言い切ることはできないが、イベントや展示場、WEBサイトに集客力のある住宅メーカーは、それだけ顧客心理を理解しているということにもつながるのではないだろうか。また、震災以降の住宅市場で脚光を浴びた太陽光発電やHEMSなどの住宅設備も、今やそれほど珍しいものではなくなりつつある。今後はある程度、標準的な仕様になってくるだろう。そんな中で、住宅メーカーが他社との差別化を図り、顧客の心をつかむためには、商品力だけでなく、それを周知させるための、今までよりもさらに高度な情報発信能力が求められるようになるだろう。(編集担当:藤原伊織)

■関連記事
【不動産業界の4~6月期決算】企業向けの賃貸オフィスビル、商業施設も、個人向け分譲住宅も、投資家向け物件も好調
二極化が進む、戸建住宅市場。主要住宅メーカーは「価値」ある高級路線へ
少ない子どもを大切に育てたい。少子化日本のこれからの住宅
東京23区の新築戸建住宅「5000万円以上」が3割超え
14年度の全国住宅・マンション供給は35.2万戸 供給トップは大東建託

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事