関連記事
生命を探して—NASAの木星の衛星「エウロパ」探査計画、開発段階へ移行
生命を探して—NASAの木星の衛星「エウロパ」探査計画、開発段階へ移行(Image credit: NASA)[写真拡大]
米航空宇宙局(NASA)は6月17日、木星の衛星「エウロパ」の探査ミッションについて、概念審査を完了し、開発段階へと移行したと発表した。打ち上げは2020年代に予定されている。
この計画は、エウロパを探査し、その星の姿を解き明かすと共に、生命が存在するかどうかを調べることを目的としている。
エウロパは地球の月とほぼ同じぐらいの大きさの星で、表面は氷で覆われている。また1989年に打ち上げられたNASAの木星探査機「ガリレオ」の観測によって、その内部には液体の水がある可能性があることが示唆されている。これは木星などからの潮汐力によってエウロパが揺れ動かされ、熱が生じているためであるとされ、また彗星などによって有機物がもたらされることにより、たとえば地球の深海に生息しているような生命が生まれ、現在も生息しているかもしれないと推測されている。
このミッションでは、2020年代に打ち上げられた後、数年をかけて木星に到着し、木星の周回軌道を2週間に1周のペースで周り、エウロパの近くを通り過ぎる際に観測を行うことが計画されている。
計画は2011年に立ち上げられ、以来NASAのジェット推進研究所(JPL)やジョンズ・ホプキンス大学の応用物理学研究所(APL)などが協力し、概念研究が行われてきた。また今年5月26日には、搭載される科学観測機器も選ばれている。
NASAの科学ミッション担当准長官のJohn Grunsfeldさんは「今日、私たちは地球外生命のしるしを見つける旅について、概念の段階から実現に近づけるため、非常に興奮するような一歩を踏み出しました」と語る。「過去20年の間、エウロパの観測は、人類が抱える最大の謎のひとつに対して、わずかな手がかりを私たちに提供しました。そして、その答えを見つけるときがやってきました」。
またNASA本部のエウロパ計画担当のJoan Saluteさんは「これは科学にとってすばらしい日です。エウロパに生命がいるかどうかを調べるこの計画が、最初の大きなマイルストーンを通過したことは、非常によろこばしいことです」と述べている。
写真=NASA。
■JPL | News | All Systems Go for NASA's Mission to Jupiter Moon Europa
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=4627
【関連記事】
・彗星着陸機「フィラエ」、再起動に成功 7か月の眠りから覚める
・X線天文衛星「すざく」、通信に問題発生 目標大幅に超え運用
・小惑星探査機「はやぶさ2」、第2回イオン・エンジン連続運転を完了
・小惑星探査機「はやぶさ2」、第2回イオン・エンジン連続運転を開始 精度高く時間短縮
・東大とJAXA、超小型深宇宙探査機「PROCYON」の小惑星フライバイを断念
スポンサードリンク