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【株式市場・今週の展望】為替に助けられたら、為替に裏切られるのか?
今週、6月第1週(6月1日~5日)は5日間の取引。「セル・イン・メイ」どころか日経平均がマイナスだった営業日は7日と14日の2回しかなく、月間騰落がプラス1043円と「バイ・イン・メイ」と化した5月も終わり、月が変わって名実ともに6月相場入り。今週は各国の中央銀行会合、OPEC総会、先進国首脳サミットなどイベントが多い。
世界の株式市場の休場日は、1日はニュージーランドが現エリザベス2世女王の誕生日で休場。本当の誕生日は4月21日だが英連邦諸国では6月の第1または第2月曜日の移動祝祭日になっている。オーストラリアのシドニー市場の休場は8日(ニューサウスウェールズ州/州によって異なる)。シンガポールとタイはブッダの「誕生」「成道」「般涅槃」を一度に祝う上座部仏教の祭日「ウェーサーカ」で休場。ギリシャが「聖霊降臨祭の翌月曜日」で休場。ギリシャ正教はカトリックよりも1週間遅れ。
2日はインドネシアが「ウェーサーカ」で休場。経済力を持つ中国系は仏教徒が多い。4日はブラジル・サンパウロ市場がカトリックの聖体拝領の秘蹟にちなむ「聖体の祝日」で休場。カトリックが多数派のオーストリア、クロアチア、ポーランドも休場。「三位一体の主日」の後の木曜日に行われる移動祝祭日。
国内の経済指標は、1日の法人企業統計はマイナスが予測されているが、前年の第1四半期は消費増税直前の駆け込み需要期なので〃参考記録〃。2日の毎月勤労統計調査では安倍内閣が賃上げを強く要請した「春闘」の成果がわかる。今春、大企業平均で賃金が2.59%上昇したというデータがあるが、それが実質賃金にどう反映するか?
1日は1~3月期の法人企業統計、5月の新車販売台数、5月の百貨店各社の売上高速報、2日は5月のマネタリーベース、4月の毎月勤労統計調査速報値(実質賃金、現金給与総額など)、4日は5月の車名別新車販売台数、5日は4月の景気動向指数速報値、5月上・中旬の貿易統計が、それぞれ発表される。
1日に金融庁と東証が制定を推進してきた「コーポレートガバナンス・コード」の適用が始まる。「社外取締役を2人以上設置」など制度面ばかりクローズアップされるが、上場企業に対し投資家との対話を促すのが大きな目的。
2日にファーストリテイリング<9983>の5月の国内ユニクロ売上高速報が発表される。夏物に前週の「猛暑効果」が現れるか? 2~5日にフィリピンのアキノ大統領が来日する。3日に日銀の白井審議委員が三重県津市で講演し、終了後に記者会見を行う。4~5日に日銀の国際コンファランス「金融政策:効果と実践」が開催され、4日に黒田日銀総裁が挨拶する。5日に日本商工会議所の三村会頭が記者会見を行う
主要企業の決算発表は端境期。1日は伊藤園<2593>、ピジョン<7956>、2日はファースト住建<8917>、3日は三井ハイテック<6966>、4日は積水ハウス<1928>、モロゾフ<2217>、綜合臨床HD<2399>、くらコーポレーション<2695>、クミアイ化学工業<4996>、5日はカナモト<9678>、鳥貴族<3193>、ハイレックス<7279>が発表する。次回の新規IPOは6月16日。
海外の経済指標はアメリカのものが多く、5日の雇用統計が最も注目されるが、ISM製造業・非製造業景況感指数も重要。今週はECBやイングランド銀行など中央銀行の会合が多い。原油市場の先行きを見定める上で5日のOPEC総会も重要。7~8日はドイツ・エルマウでG7サミットが開催される。
1日は中国の物流購入連合会の5月の製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)、アメリカの4月の個人所得・個人支出、5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、ISM製造業景況感指数、2日はユーロ圏の5月の消費者物価指数(CPI)速報値、アメリカの4月の製造業受注指数、5月の新車販売台数、3日はオーストラリアの1~3月期の国内総生産(GDP)、ユーロ圏の4月の失業率、アメリカの5月のADP雇用レポート、4月の貿易収支、5月のISM非製造業景況感指数、4日はアメリカの1~3月期労働生産性指数改定値、5日はユーロ圏の1~3月期の域内総生産(GDP)改定値、アメリカの5月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、4月の消費者信用残高が、それぞれ発表される。
3日にECB(欧州中央銀行)の定例理事会が開かれてドラギ総裁が記者会見を行うほか、2日にオーストラリアとインド、3~4日に英国(イングランド銀行)、3日にブラジル、4日にメキシコで中央銀行の会合があり、政策金利が発表される。3日にアメリカFRBの「ベージュブック(地区連銀経済報告)」が公表される。5日にウィーンのOPEC(石油輸出国機構)本部で総会が開かれる。この日はギリシャのIMF(国際通貨基金)に対する債務返済期限でもある。7~8日にドイツ・バイエルン州の高原リゾート、エルマウでG7サミットが開催される。アメリカ主要企業の決算は2日にダラー・ゼネラルが発表する予定。
前週、日経平均に破竹の11連騰をもたらした最大の要因は何と言っても「為替のドル高円安の急速な進行」だろう。前々週末22日のドル円レートは121円近辺だったが、前週は29日未明(日本時間)の124円台半ばまで3円以上も円安方向に動いた。それを見れば麻生財務大臣でなくても、誰でも「値動きが荒い」と思っただろう。
前週、ギリシャの債務不安がくすぶり続けても、中国の景気減速懸念が「金融当局が追加緩和を行うから中国株はまだ買える」と思わせる段階を通り越して上海市場が急落しても、アメリカの経済指標が強弱まちまちで、要人発言で早期利上げ観測も浮上してNYダウが乱高下しても、国内の上場企業にスキャンダルが発生しても、地震や噴火が起きても、「円安は全てを癒す」かのように為替は日経平均をプッシュし続けた。あえて言うなら、為替の円安は「日経平均11連騰のつっかい棒」だった。
2万円を200~300円程度超えるぐらいならともかく、29日の終値ベースの年初来高値20563円は、いくらなんでも水準が高すぎる。木造の建物にたとえるなら、20300円ならば石垣とは言わないまでも土盛りの基礎の上にしっかり建っているが、20563円は何本ものつっかい棒に支えられて建っているハリボテの3階建てのようなもの。もし円安というつっかい棒が折れたり、外れたりしたら、たちまち倒壊しかねない。昭和以来の11連騰に浮かれ騒ぐ前に、この連騰で日本株が下落リスクの大きい領域にまで達してしまったことを、まず認識すべきだろう。
前週のように為替に助けられて背伸びしたら、為替に裏切られた時が怖い。「いつまでも、あると思うな為替の円安」である。
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