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理研、超並列分子動力学計算ソフトウェアを開発―スパコン「京」で巨大生体分子システムをシミュレーション
分子集団系の原子間相互作用を示す図。分子動力学計算では、原子を「電荷を持った質点」として近似し、それらがバネでつながっている分子モデルを扱う。分子が多数集合した系に対しては、原子同士の相互作用を結合性相互作用(伸縮振動、変角振動、二面角変化に伴う相互作用)と非結合性相互作用(ファンデルワールス相互作用とクーロン相互作用)に分けて計算する。(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所の杉田有治チームリーダーらの共同研究チームは、生体分子の運動を1分子レベルから細胞レベルまでの幅広い空間スケールで解析可能なシミュレーションソフトウェア「GENESIS」を開発した。
近年、計算機によるシミュレーションは、実験、理論に次ぐ第3の解析手法として、さまざまな分野で活用されている。
今回の研究では、タンパク質や核酸、生体膜、糖鎖などの生体分子だけでなく、その集合体の分子動力学シミュレーションを行うことのできるソフトウェア「GENESIS(GENeralized Ensemble SImulation System)」を開発した。
GENESISの開発目的は非常に多くの粒子を含む分子集団系の分子動力学計算を、「京」などの汎用スーパーコンピュータを用いて効率的に行うことで、MPIとOpenMPという2つの異なるプロトコルを組み合わせたハイブリッド並列が考慮されている。
また、新規アルゴリズムとして、「Inverse Lookup Table法」「Midpoint cell法」「Volumetric decomposition FFT 法」などを導入し、バクテリアの細胞質分子混雑環境を模倣した約1,170万個の原子を含む分子集団系に対して1日あたり17.5ナノ秒(ns)、約1億370万個の原子を含む分子集団系に対しては1日あたり6.5nsという性能を「京」を用いて達成した。
なお、GENESISは「京」だけでなく、ワークステーションやクラスター計算機においても実行できるようになっており、GPLv2ライセンスに基づくオープンソースソフトウェアとして5月8日から粒子系生物物理研究チームのホームページで公開されている。
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