森林総合研究所、熱帯雨林の光合成能力は樹木の高さで決まることを発見

2015年2月13日 14:36

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森林総合研究所が調査を行ったランビルヒルズ国立公園の熱帯雨林(森林総合研究所の発表資料より)

森林総合研究所が調査を行ったランビルヒルズ国立公園の熱帯雨林(森林総合研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • 林冠観察用クレーンのゴンドラに乗り、地上から約40mの高さで測定している(森林総合研究所の発表資料より)
  • 樹高と光合成能力の関係を示す図。矢印のように、樹種に関係なく樹高が高くなると光合成速度が直線的に上昇する(森林総合研究所の発表資料より)

 森林総合研究所は12日、熱帯雨林では樹高が高いほど樹木の葉の光合成能力が増加することを発見したと発表した。研究成果は、熱帯での炭素固定能解明に大きく役立つものだという。

 温帯での研究から、樹高の高い樹木は葉まで水を吸い上げることが難しいため、樹高がある程度以上高くなると光合成能力が低下することがわかっていた。

 しかし、マレーシアの熱帯雨林で100種以上の樹種について、樹高 1mの小さい樹木から50mを超える巨大な樹木まで葉の光合成能力を、高さ85mの林冠観察クレーンを建設して測定したところ、樹高が高くなると光合成能力が増加し、大きな樹木ほど炭素をたくさん固定できることが分かったという。

 これは、雨が多い熱帯雨林では根から水を十分に吸い上げられるので、日光がよくあたる林冠部で効率よく光合成を行えるためと考えられるという。

 将来、熱帯雨林地域では干ばつの頻発や気温の上昇が危惧されている。もし将来、干ばつが頻発すると、多くの樹木が絶滅し、大規模な森林や生物多様性の劣化が起こる危険がある。一方、測定した樹木の中には節水型の樹種も見られたことから、今後、同研究所では、さらに樹種ごとの特徴も詳しく解析し、干ばつなど気候変動の影響評価を目指すとしている。(記事:町田光・記事一覧を見る

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