東大など、セシウム原子時計より1000倍精度の高い光光子時計を開発

2015年2月11日 20:26

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光格子の模式図。原子(緑色)がレーザー光の干渉で作られた微小空間(光格子(茶色))の中に捕獲されている(東京大学などの発表資料より)

光格子の模式図。原子(緑色)がレーザー光の干渉で作られた微小空間(光格子(茶色))の中に捕獲されている(東京大学などの発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の香取秀俊教授らによる研究グループは、低温環境で原子の高精度分光を行う光格子時計を開発し、2台の時計が2×10の-18乗の精度で一致することを実証した。

 光格子時計は、現在「秒」を定義しているセシウム原子時計の精度を1,000倍近く向上させる次世代の時間標準として、世界中で盛んに研究されている。しかし、原子を囲む室温の壁から放射される電磁波が、原子固有の振動数を変化させてしまうという問題があった。

 今回の研究では、低温環境でストロンチウム原子を分光することによって、電磁波の影響を100分の1にまで低減する低温動作・光格子時計を開発することに成功した。実際に、2台の時計を約1ヶ月間比較したところ、2×10の-18乗の精度で一致することが確認できた。

 今後は、離れた場所にある2台の原子時計の重力による相対論的な時間の遅れを検出することで土地の高低差を測る「相対論的な測地技術」への展開や、物理定数の恒常性の検証など、新たな基盤技術の創出や新しい基礎物理学的な知見をもたらすと期待されている。

 なお、この内容は2月9日に「Nature Photonics」に掲載された。

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