北大、植物が虫から身を守るための新しいメカニズムを発見

2015年1月30日 18:21

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葉緑素(クロロフィル)とクロロフィリドの構造を示す図(北海道大学の発表資料より)

葉緑素(クロロフィル)とクロロフィリドの構造を示す図(北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 葉緑素とクロロフィラーゼからなる二成分防御系のイメージ図。(A)植物細胞が正常な構造を保っている時は葉緑素は葉緑体に、クロロフィラーゼ(酵素)は液胞にある。(B)ガの幼虫などが葉を食べて葉の細胞が壊れた時は、クロロフィラーゼが葉緑素に作用して瞬時に葉緑素をクロロフィリドに変える。クロロフィリドには、幼虫の生育を抑制する効果がある(北海道大学の発表資料より)

 北海道大学の胡学運らによる研究グループは、植物は葉緑素(クロロフィル)によって虫から身を守っていることを発見した。

 植物は、葉緑素(クロロフィル)に酵素クロロフィラーゼを作用させることで、クロロフィリドと呼ばれる物質を作り出す。この酵素は100年以上も前から存在が知られていたものの、その役割については明らかになっていなかった。

 今回の研究では、まず細胞の成分を遠心分離したところ、クロロフィラーゼが植物内細胞の液胞や小胞体にあることが分かった。つまり、葉緑素(クロロフィル)は葉緑体という別の場所にあるため、通常は反応を起こさないが、細胞が壊れたときには反応を起こしてクロロフィリドを生成する。

 また、クロロフィリドを虫のエサに混ぜると幼虫の成長が抑えられ、死亡率も高くなること、そしてクロロフィラーゼを多く含む植物を食べたハスモンヨトウの幼虫の死亡率が高まることが分かった。

 今後は、本研究成果が植物の防御反応の全容解明や多様性解明に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Plant Physiology」に掲載された。

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