6カ月間のダイエット支援効果は2年で消失 リバウンド防止の鍵は運動量=筑波大調査

2014年12月6日 21:00

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集団型減量支援の有効性の推移を示す図(筑波大学の発表資料より)

集団型減量支援の有効性の推移を示す図(筑波大学の発表資料より)[写真拡大]

 筑波大学の中田由夫准教授らによる研究グループは、肥満者を対象に行った6カ月間の集団型減量支援の有効性(3.0 kg)は減量後1年間で半減し(1.5 kg)、減量後2年間で完全に消失する(0.0 kg)ことを明らかにした。

 肥満は世界的な健康課題の一つで、日本でも肥満やメタボリックシンドロームに対する様々な対策を講じているものの状況は改善されていない。特に、減量後の体重維持は難しい課題であり、どのようにすればうまく減量後の体重を維持できるかは明らかになっていない。

 研究グループは、3カ月間で平均8kgの体重減少を可能とする集団型減量支援プログラムを開発してきた。そして、今回の研究では「動機付け支援講義」(※)と「教材提供」(※)を行ったグループと、これら2つに加えて「集団型減量支援」(※)も行ったグループの追跡調査を実施した。その結果、「集団型減量支援」も行ったグループに認めらた効果(3.0 kg)は減量後1年間で半減し(1.5 kg)、減量後2年間で完全に消失(0.0 kg)していた。

 なお、この結果は「集団型減量支援」の効果が消失したことを示しているが、両グループ共に3.3kgのダイエット効果は維持していたため、完全にリバウンドした訳ではない。

 また、2年半(減量6カ月+追跡2年)の体重減少率の大小によって4つの群に分けた解析を行なったところ、年齢、体重などのベースライン時の特徴については差が認められなかったが、運動量については差が認められた。具体的には、最も体重減少率が大きい群では、減量開始時よりも歩数が2607歩、歩行程度のやや強度の高い活動時間が21分増えていた。このことから、身体活動量を高めることが、リバウンド予防につながる可能性が示唆された。

 今後は、参加者が自宅で測定した体重と身体活動量のデータ基に、支援者が定期的にフィードバックメッセージを送ることで、減量後の体重維持が可能となるかどうかを、27カ月間(減量3カ月+追跡24カ月)のランダム化比較試験によって検証する予定となっている。

※「動機付け支援講義」は、1回2時間、肥満と減量に関する基礎知識、減量目標値の設定、エネルギー収支バランスなどについて講義した。「教材提供」は、3種類のテキストと食事内容などを記入するためのノートと歩数計を提供した。「集団型減量支援」は提供した教材に基づく内容で、1回2時間、6カ月間で7回(2、4、6、10、14、18、22週目)行なった。

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