東工大、ゴムのように伸び縮みするガラスの作製に成功

2014年12月5日 15:51

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今回の研究で開発された異方性Li0.25Na0.25K0.25Cs0.25PO3ガラスの偏光顕微鏡写真(東京工業大学の発表資料より)

今回の研究で開発された異方性Li0.25Na0.25K0.25Cs0.25PO3ガラスの偏光顕微鏡写真(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京工業大学の稲葉誠二特任助教(現旭硝子)らによる研究グループは、ゴムのように伸び縮みする酸化物ガラスの作製に成功した。

 ゴムやポリウレタンなどは、外力によって規則的に配列した分子がエントロピー増大則に従って元の不規則な状態に戻ろうとする「エントロピー弾性」を持つ。一方で、窓などに使われている酸化物ガラスは、各原子が網目状に強固に連なった構造をしているため、ガラス転移温度以上で引き伸ばすと永久変化が生じ、エントロピー弾性によって形状が回復することはない。

 今回の研究では、有機ゴムの構造を参考にして、重合度が高く共有結合性の高い直鎖が互いに緩やかに引き合った構造を持つガラス組成の開発を目指した。その結果、複数種のアルカリ金属イオンを含有する混合アルカリメタリン酸組成「Li0.25Na0.25K0.25Cs0.25PO3」において、直鎖の重合度が増し、直鎖間の相互作用力が低下し、柔軟性が大幅に増加することが分かった。

 この結果は、室温では硬く割れやすい酸化物ガラスも、構造を工夫すれば高温でゴムのように伸び縮みする特性を発現できることを示したもので、研究グループは、有機高分子のゴムでは対応できない高温下や酸化性環境などでの応用が考えられるとしている。

 なお、この内容は12月1日に「Nature Materials」オンライン版に掲載された。

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