産総研、硫酸性温泉紅藻によってレアアースを効率的に回収する方法を明らかに

2014年10月2日 17:25

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準嫌気従属栄養条件(⑤)で、他の金属を含む酸性溶液から、Galdieria sulphurariaは低濃度のレアアースと銅を効率良く細胞に回収する(研究グループの発表資料より)

準嫌気従属栄養条件(⑤)で、他の金属を含む酸性溶液から、Galdieria sulphurariaは低濃度のレアアースと銅を効率良く細胞に回収する(研究グループの発表資料より)[写真拡大]

 筑波大学の蓑田歩助教らによる研究グループは、硫酸性温泉に生息する紅藻が強酸性条件下でレアアースを効率的に回収することを明らかにした。

 レアアースと呼ばれる希少金属はハイブリッド自動車のモーター・超強力磁石材料・光学ディスクなど私達の豊かな生活を支える重要な元素であり、その効率的なリサイクル方法が求められている。一般的に、微生物による金属回収は、コストが安く環境にも優しいと言われているが、これまでに提案されている方法では回収効率が低いという課題を抱えていた。

 今回の研究では、硫酸性温泉紅藻Galdieria sulphurariaに着目し、「100%窒素通気で、暗所で有機物のみを代謝する準嫌気従属栄養条件」において、約70%の効率で10種類の金属を含む酸性溶液の中から銅・ネオジム・ディスプロシウムを回収できることを明らかにした。また、この条件下でのレアアースと銅の回収は、バイオソープションと呼ばれる従来のメカニズムとは異なっていることも分かった。

 今後は、Galdieria sulphurariaがレアアースを細胞内に蓄積するメカニズムを解明することで、高効率で経済性のあるレアアースのリサイクル技術の構築に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Applied Microbiology and Biotechnology」オンライン速報版に掲載された。

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