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産総研、クヌギカメムシの卵を覆うゼリーの機能を解明 動物では例外的な機能性物質
(A)樹皮上にゼリーに覆われた卵塊を産みつける雌成虫。 (B)卵塊の拡大像。ゼリー層から突き出す呼吸管が見える。(C)単離した卵。矢印は呼吸管を示す。(D)ゼリーに群がる1令幼虫(産業技術総合研究所の発表資料より)[写真拡大]
産業技術総合研究所の深津武馬首席研究員らによる研究グループは、クヌギカメムシの卵を覆うゼリー状物質の成分や機能を明らかにした。
カメムシ類は農作物の害虫も多く存在しており、農業的にも経済的にも重要な昆虫群であると考えられている。その中でも、クヌギカメムシは晩秋にクヌギなどの樹幹にゼリー状物質に覆われた卵塊を産みつけ、幼虫が厳冬期の2月頃に孵化してこのゼリーのみを摂食して3令まで成長する。このようなクヌギカメムシの習性は100年近く前から知られていたものの、これまで本格的な研究はおこなわれてこなかった。
今回の研究では、クヌギカメムシの卵塊のゼリーを除去して実験室内で幼虫の発育を観察したところ、卵孵化率は変わらなかったが、2令脱皮率や幼虫の大きさはゼリー除去によって有意に低下することが分かった。さらにゼリーに含まれる炭水化物の糖組成を調べたところ、90%以上がガラクトースであり、ガラクトースが主成分の多糖類であるガラクタンがゼリーを構成していることが分かった。藻類や植物でのガラクタン産生は知られているが、動物由来のガラクタンは例外的である。
今後は、ゼリーを構成するガラクタンの構造解明や、網羅的発現遺伝子解析による分子機構の解明が進められていく予定である。
なお、この内容は9月26日に「Current Biology」に掲載された。
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