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子どもの貧困対策大綱決定 ひとり親の高校就学支援も
子どもの貧困率悪化を受けて、政府は貧しい家庭で育つ子どもの教育支援を目標とする「子供の貧困対策大綱」を閣議決定した。支援策には、奨学金制度の見直しや、幼児教育の無償化、子どもの学習支援や親の就労支援などが盛り込まれている。[写真拡大]
政府は子どもの貧困率が悪化していることの対応として、貧しい家庭で育つ子どもの教育支援を目標とする「子供の貧困対策大綱」を閣議決定した。学校をプラットホーム(拠点)として機能させ、福祉機関や児童相談所との連携を強化しながら、多角的に支援を行っていく考えだ。貧困によって教育の機会が奪われ、大人になっても貧困から抜け出せないという「連鎖」を断ち切るためにも、教育環境の整備は欠かすことができない。
2012年度の子どもの貧困率は、09年の前回調査時からマイナス0.6ポイント悪化し16.3%となった。現在の日本の子どもの貧困率は、過去最悪の水準にある。経済協力開発機構(OECD)の調べによると、加盟国の10年度の子どもの貧困率平均は13.3%。日本の子どもの貧困率は平均よりも悪く、34か国中25位となっている。
この現状に対し具体的な支援策として、月額数万円程度かかる幼児教育を段階的に無償化へ進めていくことや、全国に数千人いるスクールソーシャルワーカーを増員することが挙げられた。スクールソーシャルワーカーとは、悩みを抱える子どもや保護者からの相談に応じて、行政や福祉関係施設などと連携し問題解決のために働きかける役割を持つ人のことだ。
また、生活困窮世帯の子どもを対象に、学習面のサポートや居場所づくりを目的として、学習支援事業も行って行くことも盛り込んだ。低所得世帯の高校生には、無利子の奨学金制度や、奨学給付金制度を導入するとしている。
政府は母子世帯での貧困率が54.6%にもなっていることに注目し、ひとり親の支援対策として親の学び直しの機会を設けることを決定。保護者への就労支援の一環として、一定の条件のもと親の高校就学費用を支給するとした。しかし今回の大綱案は既存事業のなぞり直しに過ぎず、目標値もないままで曖昧だという批判も出ている。少子化により社会の担い手が減っている今、子どもの教育は社会全体の課題として、さらに一歩踏み込んだ政策をとっていく必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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