【雑感】「お家騒動」の背後にあるもの-大塚家具創業家社長解任に思う

2014年7月27日 17:08

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【7月26日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

●「お家騒動」続々

 家具インテリア大手の大塚家具さんの創業家社長さん(創業者のお嬢様)が、取締役会で解職されたそうで、父親である創業者の方が社長に復帰されるようです(リリースを読むと、代表取締役を解職され、社長職も解任されたそうです)。

 そういえば今年5月にも、伊勢の赤福さんで、創業家会長の長男である社長さんが、会長である父親から、株主総会で取締役たる地位を解任されました。いわゆる「お家騒動」といわれるものですが、なぜ親子で経営権をめぐる骨肉の争いを繰り広げる・・・ということになるのでしょうか。普通に考えてもなかなか理解しにくいところです。

 大塚家具さんや赤福さんがそうである、とは申しませんが、ときどき創業家親子で社長解任劇が起きる場合、社長に就任させた身内の蔭にひそむ「番頭さん」やコンサルタントの方が気に食わない・・・ということが発端となります。

 創業者の方は、自身が選任した新社長さんですから、そんな簡単に解任させることはないと思います。むしろ新社長の権限を借りて社内で勢力を増す番頭格の幹部の方や、社外の顧問のような方が、徐々に社内で勢力を拡大するケースがあります。そういった方が勢力を拡大すると、昔から創業者の方に仕えていた人たちは、いろんな不正不満を会長さん(創業者)にぶつけます。

●支配者の歪み

 そんなところから、創業者としては、とりあえず一度「支配権の歪み」を直しておこうと考えて、社長解任を断行する、ということになるのではないかと(いえ、どの事例がそうだ、といったものではなく、あくまでも私の推測にすぎません・・・・・)。

 もちろん業績が悪化したり、社風が崩壊したり、ということから、事業の行く末を案じて社長解任に至るという(まじめな?)ケースもあります。ただ、京都の一澤帆布さんのように、兄弟間での純粋なお家騒動ならまだしも、親子間ということになりますと、社内に存在していた派閥争いや出世争いといった「社内力学の歪み」が原因となることも十分に考えられるように思います。

 いずれにしましても、こういった事情は、経営トップが語りたがらないので、いろんな風評が立つわけでして、企業価値が低下しないように、本業で頑張るしかないですね。【了】

 山口利昭(やまぐちとしあき)/山口利昭法律事務所代表弁護士。大阪府立三国丘高校、大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属(平成2年登録 司法修習所42期)。現在、株式会社ニッセンホールディングス、大東建託株式会社の社外取締役を務める。著書に『法の世界からみた会計監査 弁護士と会計士のわかりあえないミソを考える』 (同文館出版)がある。ブログ「ビジネス法務の部屋」より、本人の許可を経て転載。

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