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ドイツで再生可能エネルギー法がリニューアル 新エネルギーは独り立ちできるか
ドイツで、再生可能エネルギー導入を牽引してきた法律の改正案が連邦参議院を通過した。数ヶ月にわたる激しい議論を経て連邦参議院を通過したことで、改正法案は8月1日から施行される見通しだ。改正の中心となったのは、固定価格買い取り制度の中身の見直し。[写真拡大]
世界中で導入の努力がなされている再生可能エネルギー。その先進国といえば言うまでもなくドイツだ。総発電量のうち23.4%を再生可能エネルギーでまかなうこの国で今月11日、再生可能エネルギー導入を牽引してきた法律の改正案が連邦参議院(上院)を通過した。数ヶ月にわたる激しい議論を経て連邦参議院を通過したことで、改正法案は8月1日から施行される見通しだ。
改正されたのは「再生可能エネルギー法(略称EEG)」、これまで再生可能エネルギー導入の原動力となってきた法律だ。日本でも一般的になりつつある「固定価格買い取り制度」はこの法律によって定められたものだ。ドイツではこの固定価格買い取り制度のおかげで再生可能エネルギーのシェアは大きく伸び、今では欠かせない電源へと成長を遂げた。では、この法律はどのように改正されたのだろうか。
今回の改正の中心となったのは、固定価格買い取り制度の中身の見直しだ。ドイツでこれまで取られていたのは、「料金固定型Feed-in Tariff(略称FiT)」という方式。これは買い取り価格の総額を固定する方式で、一定期間の買い取り価格が決まっているため発電事業者にとって投資リスクが少ない。この制度に守られてドイツでは再生可能エネルギー分野に多大な投資がなされ、それに伴い技術革新が進んだ。技術革新によって同国における太陽光発電と陸上風力発電の発電コストは新設の火力発電と同程度まで下がっている。
この料金固定型に代わって漸進的に導入されることになったのが、「プレミアム固定型 Feed-in Premium(FiP)」だ。この制度の下では、固定されるのは電力料金そのものではなく電力の買い取りの際に電力料金に上乗せされる「プレミアム」と呼ばれる助成金だ。
この制度変更は、ドイツの再生可能エネルギーが導入期から次のステップへと進んだことを意味している。これまでは、電力そのものの料金が固定されていたことで、事業者は見通しが立てやすく投資を安心して行うことができた。しかしこれからは、買い取り価格は変動することになる。ドイツの再生可能エネルギーは国を挙げての支援を受けるスタートダッシュの時期を抜け、競争市場のリングに立ったといえるだろう。これまで世界をリードしてきたドイツの再生可能エネルギーが電力市場で果たして独り立ちできるのか、その行方を注視したい。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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