ルネサスイーストン Research Memo(7):HEMS普及が家電向け半導体の需要を押し上げ

2014年6月25日 19:57

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記事提供元:フィスコ


*19:57JST ルネサスイーストン Research Memo(7):HEMS普及が家電向け半導体の需要を押し上げ

■ルネサスイーストン<9995>の成長ドライバ

(4)HEMS

既に新聞などで報じられているように、各電力会社はこの4月から本格的にスマートメーターの配布を開始し、2020~23年度にかけて順次配布完了の予定である。スマートメーターは、スマートグリッドの完成には不可欠なパーツだが、既存の電力計に比べれば高単価で電力会社の負担は重い。その配布完了時期を従来計画比前倒しで進めるという姿勢に、原子力発電所の再稼働が遅れる傾向にある中で、電力源の多様化や省エネ、人件費削減など、スマートグリッドに対する電力会社の期待の大きさが読み取れる。

スマートグリッドの真の完成には、家庭の電化製品のスマート化も必要不可欠で、家庭内のエネルギー効率を高める仕組みがHEMS(Home Energy Management System)である。「電力の見える化」で節電に貢献、というのがHEMSと説明されることが多いが、家電製品の自動制御が加わることで効果は一段と高まる。そのため、HEMSが本格的に家電分野でマイコンを始めとする半導体製品の需要を押し上げると期待される。

HEMSは自動車に比べると、現実的な収益貢献という点ではだいぶ先になると考える向きも多いが、HEMSなど家電の高機能化、高付加価値化は日本のメーカーが最も得意とするところであり、低価格化競争からの脱却を狙って予想以上に早い時期からHEMS対応機種の商戦が開始される可能性もある。収益予想に織り込むことは若干ためらわれるにしても、半導体製品の需要動向をみる上で、注視しておくべきポイントの1つであることは疑いがないだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《FA》

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