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6・20を“クーデター”の日にしてはならない
日本の歴代政府は国会での喧々諤々の議論を経ながら現行憲法の下で、常にその限界を見据え、当然、憲法を順守し、安全保障政策・外交政策に傾注してきた[写真拡大]
2014年6月20日。安全保障政策上の日本の仕組みを変える時の政権による「無血の憲法破壊クーデター」が起こった日。いつの日か、日本史の中で、他国の戦争に参戦しなければならない、あるいは参戦する道を開いた日として憲政史上、もっとも悔やまれる日になる可能性がある。安倍晋三総理と自民党は集団的自衛権の行使容認の閣議決定をこの日、行うことを目指しているからだ。
現在の自衛隊の装備は「専守防衛力」として、「日本への武力攻撃を排除するために必要な最小限度の装備・体制」を整えている。自衛隊が軍隊かどうか、さらに、専守防衛という枠の中で、どこまでの装備が認められるのか、日本の歴代政府は国会での喧々諤々の議論を経ながら現行憲法の下で、常にその限界を見据え、当然、憲法を順守し、安全保障政策・外交政策に傾注してきた。
それは、他国の紛争に巻き込まれないこと、また戦争を放棄した平和国家であることの証でもある。そして、これまでの歩みこそが国際社会から「戦争を放棄した平和国家」としての信用を蓄積してきた国家の財産であり、国益になっている。
安倍政権をみると、経済再生、デフレからの脱却、経済政策を前面に出した衆院選挙、参院選挙で得た国民の支持を、憲法9条にかかわる国家安全保障上の大転換まで白紙委任されたような大きな誤解があるようだ。誤解でなく「意図的解釈」があるのではと懸念する。
公明党との連立政権でなければ、とっくに閣議決定し、安保法制の見直しに入っていただろう。少なくとも、政権与党のみで、憲法解釈を変えるという政治犯罪をしてはならない。集団的自衛権の行使容認が安全保障環境の変化で本当に必要なら、その緊迫した状況を国民に知らせるとともに、国会で改正の発議をし、憲法改正手続きを踏むべきだろう。
ハードルの高いところを回避し、後は、巨大与党の議席数でどんどん法改正すればよいというやり方はいかにも合法的な暴挙で、議会制民主主義を破壊する行為と言わざるを得ない。
「集団的自衛権の行使は許されない」ということは「半世紀にわたる国会での議論の積み重ねを通じ、政府の憲法解釈として定着してきたものだ」と共産党の志位和夫委員長は正論を示す。多くの国民はそうした歯止めの中だからこそ、現在まで平和国家としての歩みが続いてきたと理解している。わたしもその一人だ。
志位委員長は「海外で戦争する国への大転換を、国会でのまともな議論もなく、与党だけの密室協議で強行する(憲法解釈の変更は)憲法破壊のクーデターだ」と強く、批判しているが、60年を超えて出された政府見解が、安倍総理の5月の記者会見からわずかの日数の中で、大きく変わるとすれば、クーデターといわれても反論できない。中身はそこまで深刻・重要な案件であるということだ。
それは、憲法にかかわる問題であり、何より、国民の生命にかかわる問題であることだから。それを踏まえれば、さきに小泉元総理が郵政改革で実施したように「憲法解釈の変更」を争点に総選挙を実施し、国民の真意を問うべき案件だろう。
そこで、自民が同様に議席を確保できれば、今回閣議決定しようとしている部分について閣議決定し、粛々と安保法制の見直しを国会の場で行っていけばよい。
憲法改正手続きを経ずに解釈改憲を行うというのであれば、最低限、国民に対して行うべき道筋であり、閣議決定に対して「クーデターだ」と言われることもないだろう。歴史的にも「6・20」を解釈改憲でのクーデターがあった日とされることは防げる。
志位委員長が言うように「72年政府見解の論理(憲法は日本が存立を全うするための自衛の措置を禁じていない。それはあくまで日本への武力攻撃を排除するための必要最小限度のものであるべき。集団的自衛権行使は憲法上許されない)のどこから集団的自衛権容認(の根拠)が出てくるか」。安倍総理の論理には国民も疑問を抱いている。
日本を取り巻く安全保障環境の状況を羅列されただけで、総理として国民の生命・財産を守る責任を果たすためなのだと説明は憲法改正を発議する根拠にはなっても、解釈改憲を正当化する根拠にはならない。憲法は時の政府の行き過ぎに歯止めをかける役割を有している。その歯止めを解釈変更で形骸化する行為は、法的安定性を保ち、国民の利益、国益を守るために、やってはならない。
あえて、それを行うとするなら、やはり、『解釈の変更』を争点にした総選挙を経てからにすべきだろう。(編集担当:森高龍二)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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