東大・東北大、グラフェン内の“質量ゼロ”電子の存在を確認

　東京大学の松田巌准教授らのグループと、東北大学の吹留博一准教授らのグループは、共同でグラフェン内に存在する質量ゼロの電子の存在を直接確認した。両グループが23日に発表した。

　グラフェンは、炭素原子が平面上に正六角形状に並んだ物質で、電気を通す性質を持っている。その仕組みとして、物質の中に質量がゼロの電子が存在しているからであると考えられていたものの、直接その電子が観測されたことはなかった。

　今回の研究では、波長の短い光を物質に当てると電子が飛び出す「光電効果」を使って、グラフェン内に存在している質量ゼロの電子を飛び出させ、その振る舞いを直接調べることに成功した。その結果、確かに検出された電子は、「質量ゼロの電子」としての理論的な振る舞いとよく一致することが明らかになった。

　この研究成果は、光通信やレーザーなどの光学技術の分野に役立つであろうと期待されている。