国内メーカーが開発・搭載をあきらめるなかで、唯一マツダが小排気量ディーゼルを発表した意味とは?

2014年3月15日 21:31

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記事提供元:エコノミックニュース

ジュネーブショーで次世代コンパクト「跳(HAZUMI)」を世界初公開。次期「デミオ」である。注目はパワーユニットの1.5リッターディーゼル。

ジュネーブショーで次世代コンパクト「跳(HAZUMI)」を世界初公開。次期「デミオ」である。注目はパワーユニットの1.5リッターディーゼル。[写真拡大]

 マツダは過日、ジュネーブショー・プレスカンファレンスで、次世代コンパクトモデルのコンセプト「跳(HAZUMI)」を世界初公開した。「跳」という名称は、「コンパクトボディから弾けるようにエネルギーを発散する」「野生動物のように勢いよく跳躍する」といった意味がこめられたマツダの次世代コンパクトカーだ。

 発表となった「跳」のボディサイズは全長×全高×全幅4070×1730×1450mm、ホイールベースは2585mm。この「跳」は、コンセプトモデルとして公開されたものの、極めてプロダクションモデルに近い。つまり、この「跳」は、現行のMAZDA 2(日本名・デミオ)の後継車と目されており、CX-5、アテンザ、アクセラで発表してきたデザインコンセプト「魂動(こどう)Soul of Motion」を標榜するモデルである。

 マツダは2010年からデザインテーマ「魂動」をコンセプトに共通した躍動感のあるデザインをモデルラインアップに与えてきた。前述したCX-5、アテンザ、アクセラ3車種ともに、ほぼコンセプトデザインのまま市販された経緯があり、次期デミオは「跳」であることは確定といえる。FF車としてはオーバーハングを極力抑えたデザインが斬新だ。

 エクステリはアテンザなどと共通のシグネチャーウイングを配したフロントデザインが特徴で、マツダファミリーを主張する。また、インテリアはラウンドしたダッシュボードと単眼メーターを採用。コンパクトハッチらしいシンプルでスポーティなデザインだ。アクセラから搭載したカーコネクティビティシステム「マツダコネクト」も装備している。

 最大のニュースは搭載エンジン。同時に世界初公開となった直列4気筒の「SKYACTIV-D 1.5ディーゼル」だ。すでにアテンザやアクセラに搭載する「SKYACTIV-D 2.2」と同様に、十分以上のトルク特性を持ち、燃費性能や環境性能を高めている。CO2の排出量はわずか90g/km以下としており、NOx用の触媒を装備せずに欧州規制「ユーロ6」に対応した。トランスミッションはSKYACTIV-Driveの6速オートマティック。アイドリングストップのi-stopとエネルギー回生システムi-ELOOPも採用している。

 マツダがディーゼルと組み合わせるアイドリングストップシステム「i-stop(アイストップ)」は、ディーゼル用に開発し直した独自のシステムだ。一般的なディーゼル用のシステムは、アイドリングストップ解除後、2圧縮目以後に燃焼を開始する。しかし、マツダの「i-stop」では、ピストンを再始動しやすい位置に停止させ、1圧縮目から燃焼を開始する。この結果、ディーゼル用として世界最速の0.40秒以内での再始動を実現した。スムーズで違和感の無い使い勝手を実現。同時に優れた環境性能を両立したのだ。

 国産メーカーでは、日産が国内でディーゼルエンジン搭載車を断念。ホンダも数年前に開発しているとしたディーゼルを中止したままだ。唯一小排気量ディーゼルを市販車に搭載したマツダに注目があつまる。

 現行デミオは2007年にリリース。途中でSKYACTIV仕様車などを追加し、今年で8年目を迎えた。国産車の販売期間として異例の長さだ。年内にも実施されるフルモデルチェンジで、この跳(HAZUMI)の内外装とパワートレーンを採用するデミオ(MAZDA 2)が誕生する。(編集担当:吉田恒)

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